レーヴァティン
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第二百六十八話 神託が教えたことその三
『二つの浮島の間に降りよ』
「東西のか」
英雄は天から降りたその声を聴いて言った。
「そうなのか」
『そこから下に向けて二本の剣の力を放つのだ』
「俺と久志のか」
『そこは南の極の地』
こう言うのだった。
『それが出る』
「南のか」
『そこに魔神がいる、しかし』
声はさらに言った。
『魔神とその軍勢はあまりに強い』
「俺達では勝てないか」
『神器が足りない』
それぞれが持っているそれはというのだ。
『あと五つずつ、それを授けよう』
「そうしてくれるか」
『これより。それを受けたうえで』
それでというのだ。
『向かうがいい、それから軍を率いて南の極の地に赴けば』
「戦えるか、そして」
『後は汝達次第』
声はこう言った、そして。
英雄達にそれぞれ五つずつ神具が新たに与えられた、それを一つ手にしただけでだった。
彼等は凄まじい力を感じた、それで英雄は言った。
「只でさえ強い神具が合わせて六つか」
『これでよし』
声がまた言ってきた。
『あの魔神にも勝てる、その魔神は』
「そうだ、何者だ」
英雄はずっと気になっていることを言った。
「一体」
『古き神々の一柱』
「古きか」
『その名はクトゥルフ』
神託の声は言った。
『全ては試練の為』
「クトゥルフは知っているが」
それでもとだ、英雄は述べた。
「まさかその神だったとはな」
『神に勝てば』
そのクトゥルフにというのだ。
「世界は海から出て石でなくなる」
「そうなるか」
『そのクトゥルフを倒すのだ』
こう言うのだった。
『さすれば世界は救われる』
「ではな」
英雄は頷いて言った。
「そうしてやろう」
『これまで』
最後にこう言ってだった。
神託は終わった、その全てを聞き終えてだった。
英雄は仲間達と共に清涼殿を後にして御所の控えの間で彼等に話した。
「全ては聞いた、後はな」
「はい、西の浮島の方々とですね」
「共にな」
紅葉に応えた。
「言われた場所に赴き」
「そうしてですね」
「そしてだ」
「貴方の天々羽斬を使われますね」
「この刀の力を全てだ」
「南の極の地にですね」
「放つ、あいつもそうする筈だ」
久志もというのだ。
「レーヴァティンの力をな」
「放たれますね」
「そうするからな」
だからだというのだ。
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