イベリス
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第七十三話 何の価値もない思想家その十二
「もうね」
「東京は」
「遥かにましだからね」
「お肉は赤身でもいいのね」
「というか脂身は日本人にはあまり馴染みないでしょ」
「そうよね」
咲もそれはと答えた。
「言われてみたら」
「赤身好きな人が多いわね」
「外国の子は結構日本のお料理あっさりしてるってね」
「言うわね」
「肉料理もね」
これにしてもというのだ。
「そう言うわ」
「あんたの学校でもでしょ」
「うちの学校って半分が海外からの子だけれど」
八条学園高等部東京校はというのだ、神戸が本校であり他には大阪校もある。この三つの高等部から八条大学に入る者がかなり多い。
「ロシアや北欧の子以外にも」
「そういうこと言う子多いでしょ」
「日本のお料理はね」
「肉料理でもあっさりしてるって」
「言うわ、あと日本人は小食だって」
こうしたこともというのだ。
「言われるわ」
「他の国は食べる国多いわね」
「同じ体格でも韓国の子なんて」
日本の隣のというのだ。
「物凄く食べるのよ」
「あそこはそうというか」
母はすぐに答えた。
「同じアジア系でも中国人もでしょ」
「中国の子も食べるわ」
「そうでしょ」
「アメリカの子は言うまでもないけれど」
アメリカ人はというのだ。
「同じアジア系で体格も変わらないのに」
「日本仁より食べるわね」
「脂っこいものもね」
こちらもというのだ。
「韓国からの子は脂っこいより辛いのだけれど」
「そちらが好きでしょ」
「あの国の子達はね」
こう母に話した。
「ちなみに北朝鮮の子はいないわ」
「韓国からの子はいても」
「それでもね」
「まあ経営しているグループが北朝鮮と関係ないから」
「八条グループがね」
世界的な企業グループである、しかし共産主義以前に鎖国していて日本と国交のないこの国とは関係がないのだ。
「だからね」
「あの国の人はいないのね」
「それであの国の子のことは知らないわ」
「まあ韓国と同じ民族だから辛いものだろ」
父が言ってきた。
「やっぱりな」
「そうなる?」
「食べものないけれどな」
それでも味覚はというのだ。
「そうだろ」
「そうなのね」
「ああ、それで脂っこいものはな」
「日本人ではよね」
「馴染みがないし咲も別に食べなくてもな」
そうしてもというのだ。
「困らないぞ」
「じゃあ普通に食べていいのね」
「そうだ」
実際にというのだ。
「そうしてもな」
「そうなのね」
「別にな」
こう言うのだった。
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