イベリス
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第七十三話 何の価値もない思想家その六
「あの人が学者さんに思えないのはわかるわ」
「それがわかったらいいわ」
母は娘に貌を戻して答えた。
「充分よ」
「そうなのね」
「あのレベルでよ」
「学者さんになれるのね」
「戦後の日本はね」
こう言うのだった。
「そうなのよ」
「子供以下の人で学者になれるの」
「学校の先生だってそうでしょ、公立だとね」
「ヤクザ屋さんより酷い人普通にいるわね」
「マスコミもそうでしょ」
「嘘吐き放題印象操作し放題だし」
ネットで常に言われていることだ。
「酷いわね」
「そんな風だとね」
「吉本隆明もトップなのね」
「そういうことよ」
「そうだ、お父さんが言いたいことはな」
また父が言って来た。
「日本の学者とかマスコミはな」
「どうしようもない位質が悪いのね」
「そんな世界でな、吉本隆明はな」
「どうしようもない人達に持て囃される」
「そんな奴なんだ」
「成程ね」
「世の中もっといいことを書いている人の本は一杯あるんだ」
この世にはというのだ。
「だからな」
「そうした人の本を読んでいけばいいのね」
「漫画でも小説でもでな」
そしてというのだ。
「ゲームをすればいい」
「これまでしてきた様に」
「読むといい本だって多い、しかし読まないといけない本もな」
そうしたものはというと。
「これといってな」
「ないのね」
「教科書や参考書位だな」
強いて言うと、というのだ。
「いい成績出さないと駄目だからな」
「将来のお仕事の為には」
「それ位だ」
「わかったわ、じゃあこれまで通り漫画とかラノベ読んでくわね」
「それでいい、あと今日は飲まないのか」
父は焼酎を飲みつつ咲に問うた。
「それで」
「今日はいいわ」
あっさりとだ、咲は父の問いに答えた。
「別にね」
「そうか、じゃあ焼酎もいいか」
「今日は牛乳飲んで寝るわ」
こちらを飲むというのだ。
「そうするわ」
「牛乳か」
「そっちをね」
「まあその方が身体にいいな」
牛乳と聞いてだ、父は言った。
「飲むなら」
「夏は余計に身体にいいもの飲んでね」
母は娘に真剣な顔で言ってきた。
「牛乳もそうだし野菜ジュースもね」
「そうしたもの飲めばいいのね」
「前から言ってるけれどね」
「お茶もいいのよね」
「お茶はビタミンがあるから」
だからだというのだ。
「いいのよ、お水を飲んでも悪くないけれど」
「飲むならよね」
「牛乳や野菜ジュースあと豆乳ね」
「身体にいいものを飲むといいのね」
「豆乳なんてね」
母はこの飲みものの話もした。
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