お互い新監督
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第一章
お互い新監督
根室寿は朝起きていきなりキッチンに既にいた妹の千佳に言った。
「阪神来年は優勝だな」
「それ毎年行ってるじゃない」
妹はクールな声で応えた、見れば表情もそうなっている。
「それで毎年よね」
「来年はだよ」
「それも毎年行ってるし」
「今の時期はか」
「開幕までね」
「そうか?」
「そうよ、それでそう言える根拠何よ」
千佳はクールな顔と声のまま聞き返した。
「一体」
「監督さん代わっただろ」
「岡田さんね」
「そして二軍監督もだよ」
「和田さんね」
「このお二人がな」
寿は強い声で話した。
「阪神をだよ」
「優勝に導いてくれるの」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「あの憎むべき巨人を最下位に落としてな」
「巨人が最下位になるのはいいけれど」
千佳はそれでもと述べた。
「けれどね」
「それでもか」
「今年優勝するのはよ」
そのチームはというと。
「決まってるでしょ」
「阪神だな」
「カープよ」
千佳ははっきりとした声で言い返した。
「決まってるでしょ」
「お前もそれ毎年言うな」
「だってそれだけの戦力がね」
「あるんだな」
「若手が育ってきていて」
そうしてというのだ。
「しかも今年はよ」
「今年は。何だよ」
「新井さんが戻ってきてくれたのよ」
「監督でか」
「そうよ、だからね」
その為にというのだ。
「もうね」
「カープ優勝か」
「あの三連覇の時みたいなよ」
それこそというのだ。
「黄金時代がね」
「復活するんだな」
「新井さんがそうしてくれるのよ」
千佳は確信を以て言い切った。
「必ずね」
「言ってくれるな、しかしな」
それでもとだ、寿は妹に彼女の向かい側の席に座って話した。
「今年こそはだよ」
「阪神優勝っていうのね」
「岡田さん早速戦略出してくれてるだろ」
「守備のこととか」
「佐藤さんもサードでな」
そのポジションでというのだ。
「固定、大山さんとだよ」
「クリーンアップ組んで」
「そこに新助っ人も加入して」
そうなってというのだ。
「近本さんが塁に出てな」
「クリーンアップで返す」
「それが出来る様になってだよ」
そうしてというのだ。
「投手陣は万全だしな」
「十二球団最強っていうのね」
「史上最強だよ」
寿はこう言い返した。
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