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そんなことで浮気が出来るか

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第二章

「凄くだよ」
「満足しているのね、けれどね」
「けれど?」
「素肌は見せられないわね」
 夫にこうも言った。
「着替える時いつも一人で」
「水着にもならないね」
「こうした身体だから」 
 その縄や鞭の跡だらけの身体で言う、他にも色々な傷跡がある。
「とてもね」
「そうだよね」
「けれど逆にね」
 妻はこうも言った。
「こうした身体だと浮気はね」
「出来ないね」
「この身体の跡見たら」
「誰もが引くし」
「普通の人はね」
「そうなるから」
 だからだというのだ。
「本当にね」
「浮気はしないね、僕だってね」
「私が攻める時もあるしね」
 見れば夫の身体にも全身跡がある。
「これだとね」
「お互いに浮気防止にもなるよ」
「ええ、ただね」
 妻はこうも言った。
「こうした趣味はね」
「特別だからね」
「何と言ってもね、だから」
 それでというのだ。
「そうそうね」
「趣味の合う人もいないよ」
「そうよね」
「僕達が会ったこともね」
「奇跡みたいなものね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「浮気はね」
「普通でもね」
「そうそうね」
 それこそというのだ。
「ないわね」
「そうだね」
 夫婦で笑顔で話してだった。
 同じベッドに入ってぐっすりと寝た、二人は生涯添い遂げ共に浮気することはなかった。しかしそれと共に人前で肌は出さなかった。しかし二人は幸せだった。


そんなことで浮気が出来るか   完


                   2022・10・29 
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