| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

パパイヤに再会して

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二章

「パパイヤというが」
「甘く美味く」
「しかも意外と腹にたまってな」
「いい感じです」
「普通木の実というものはな」
 果物はというのだ。
「水気が多くな」
「あまり腹にたまらず」
「おやつ位にしかならないものだ」
「精々朝飯です」
「しかしこのバナナとな」
 それと、というのだ。
「パパイヤはな」
「腹にたまるので」
「それでな」
 だからだというのだ。
「有り難いな」
「全くです、では魚を食い」
「他のものも食ってな」
「このパパイヤも食って」
「餓えない様にしてだ」
 そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「食べていきますね」
「そうして敵が来たらな」
 その時はというのだ。
「是非な」
「戦いましょう」
「最後までな」
 皆で誓い合った、そうしてだった。
 古川も園田も他の者達もパパイヤも食べて生きていった、そのうえで敵が来るのを待っていたのであるが。
 その話を聞いてだ、誰もが最初は耳を疑った。
「馬鹿な、無条件降伏だと」
「日本が負けたのか」
「そんな筈がない」
「我が国が負けるなぞ」
「それがです」
 伝えに来た者も沈痛な顔で述べた。
「事実です」
「では我々はどうなるのだ」
 古川はその者に部隊を率いる者として問うた。
「一体」
「国に帰ることになります」
 これが返事だった。
「これから船に乗り」
「そうか、だが日本はどうなるのだ」
「降伏文書は調印しましたので」
「既にか」
「後はわかりません」
「そうか、ではまずはな」
「戻られますね」
「そうするしかない」
 こう答えてだった。
 彼も園田も他の者達もだった。
 船に乗り込むことにした、その時島の者達がだった。
 土産に色々なものを持たせてくれた、それはというと。
「果物に魚に」
「我々のものまでありますね」
「そうだな」
「有り難いですね」
「特にこれをです」
 長老は古川と園田にだった。
 あるものを出した、それはというと。
「どうぞ」
「パパイヤか」
「これをくれるのか」
「好きなだけ持って行って下さい」
 こう言ってパパイヤを出すのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧