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まともに相手にしてもらえなくて・・ おまけにブスといわれて

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第8章
  8-1

 元旦だけは塾が休みだったので、充君と願掛けに神社に行こうと約束していた。朝、お正月のお祝いをして、お昼に駅で充君と待ち合わせをしていた。今日は私も制服姿だったので、お母さんも特別にお化粧もしてくれなくて、コロンだけ振って送り出してくれた。お母さん達は今日は近くの神社に出掛けると言っていたのだ。

 駅に着いて、この日は私の方が少しばかり、早かった。遠くから歩いてくる充君を見つけて、小走りで駆け寄って行って

「充君 おはよう」と、精一杯の可愛い顔をして、声を掛けて行くと

「おぉ おはよう カナ」

 おめでとうじゃぁないような気がしてたから・・。電車とバスで北野の天満宮へ向かった。私は充君の手をしっかりと繋いで、時たま腕を絡ませていた。もう、2年目になる。充君とこうやって神社に合格祈願に来るのも。その前の年までは、暗ーいお正月だった。そして、私の前に現れてくれた王子様。だから、私はこの幸せを逃しちゃぁーバチが当たると、必死に勉強してきたのだ。人間って、愛する人が居るだけでこんなに変われるんだと感じていた。

 「なぁ 去年のミサンガ だいぶ汚れたよねー ウチ もう切れそう 今年、なんか買おうか?」

「あぁ 俺 もう 2回切れてるでー 又 つないでるけどー」

「あっ そうなんだー でも、二人で合格したら きっと また 切れるよー だけど、お守り買おーよ  お揃いのん」

「紗奈 そーいうの 好きやなー」

「だって 女の子やったら 好きな男の子とお揃いのん持ちたいヤン あっ そうだ  絵馬も書こうよ 1枚にふたりで・・ 仲良いって、天神さんも認めてくれるってっ」

「そんな厚かましいのって 見たことないでー」

「そんなことないよ 恋人の聖地には 必ずあるって」

「恋人かー」

 お詣りを済ませて、河原町まで出て、結局、ラーメンと餃子のお店にしか入れなかった。だけど、食べた後、私は鴨川沿いを散歩したいと、充君を強引に誘っていた。それから、家まで、送ってきてくれたんだけけど、もう、辺りは薄暗くなっていて、私は、わざと公園の中を歩くようにしていた。

 そして、木陰になったところで、私は繋いでいた手に力を込めるようにして、立ち止まったのだ。充君も私の気持ちがわかったようだった。抱き寄せてくれて、私の前髪を分けるようにして、唇を合わせてきてくれた。

「なぁ さっきも なんやけど・・ 恋人っていうの 抵抗あるん? ウチがブスやから?」

「うーん なんていうか 紗奈のことは ブスなんてことはないよ 可愛いよ 好きだよ だけど、恋人って イメージ的に そのー 身体の関係もあるからっていうかー」

「そんなん 関係ないやん 身体の関係ってー 心で繋がっている恋人同士もあるでー だって ウチ等だって 好きなんやしー キスだってしてくれるヤン」

「だよなー 俺は まだ 大人になれてへんからなんかなー」

「充君 ・・・ あのなー ウチを抱きたいんかー?」

「あぁ そりゃー 男やからな 紗奈を抱き寄せた時の柔らかな身体 もっとと思うよ でも 今は、我慢するしかないなと思ってる そんなことしたら」

「・・・あんなー ウチも・・思うことあるの でも お母さんとも約束してるし、そんなことせーへんってっ」

「だよな 今は、受験だよな」

「ウン キスしてくれてありがとう これで、元気出る でもな いやらしいんやけど・・充君のん 大きくなってるん 感じたでー」

「バッカー じゃー 昔みたいに握ればええのにー」

「アホかー また、そんなことを言うぅー あんときはー・・ そんなこと出来るわけないヤン 寝れんよーになるワー スケベー」

「フッ じゃぁ 機会あったらなー」

「ウッ ゥン そん時はね 覚悟しといてー 送ってくれてありがとう もう そこやからー」

 私は、その夜、思い出してしまって眠れなかったのだけど、今日、買ったお守りを握り締めているうちに眠りについたみたいだった。そして、夜中に眼が覚めて、水を飲みに行ったら、両親の部屋から、お母さんの吐息まじりの声が聞こえてきた。私は、そぉーと、部屋に戻って布団をかぶって、どうしてウチ等はセックスがタブーなんだろうと思いながら、又、眠りについたのだ。
 
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