イベリス
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第七十一話 神仏を感じてその九
「しかしです」
「それでもですね」
「努力すれば何処までもです」
「成長していくんですね」
「発展していきます」
そうもなるというのだ。
「ですから」
「それで、ですね」
「小山さんも努力されれば」
咲もというのだ。
「何処までもです」
「成長出来るんですね」
「凄くなります」
「そうですか、逆に努力しないと」
「それならです」
まさにと言うのだった。
「そのままです、人は努力すると成長しますが」
「逆に努力しないとですね」
「そのままか最悪です」
「駄目になっていくんですね」
「先程お話した様に自分がこの世で一番偉いなぞと思っては」
そうした考えを持てばというのだ。
「もうです」
「それってとんでもない勘違いですよね」
「そうですね」
「はい、何でそう思うのか」
「実はその人は働かないで」
「所謂ニートですか」
「そして家事も碌にせず」
そうしてというのだ。
「何の資格も立場も不労収入もです」
「ないんですね」
「そうです、私は学歴は何でもないと思いますが」
「その人学歴もないですか」
「財産も。そして尊敬される様な人柄も」
「そんな勘違いする人が人柄いい筈がないですね」
「不平不満ばかりで感謝の気持ちがなく」
速水は実際にその人格の話をした。
「器が小さく無神経で図々しく尊大でした」
「碌な人じゃないですね」
「人の家に今日行くと言っていきなり来てコーヒーを淹れてくれと言ったり大食を貪り入浴し一泊してです」
そうしてというのだ。
「朝ご飯を食べて帰る」
「家事しないですよね」
「そして人のお部屋に入ってです」
「勝手にですね」
「はい、そうして本を漁る」
「そんな人ですか」
「何か助けても恩に感じず」
感謝の気持ちがないと言った通りにというのだ。
「ですから」
「何をしても無駄ですか」
「そんな人でした」
「何かそんな人だと」
咲はここまで聞いて顔を思いきり顰めさせそのうえで曇らせた、そうしてそのうえで言うのだった。
「どうしようもないですね」
「しかも長男ということで」
その家のというのだ。
「やりたい放題言って行う」
「余計にどうしようもないですね」
「私がその人を密かに占いますと」
そうすればというのだ。
「ケルト十字の占いですが」
「どうなったんですか?」
「まず九枚全てが悪いもので」
そうしたものでというのだ。
「そしてです」
「そうしてですか」
「はい」
まさにというのだ。
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