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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百二十七話 華雄、よい水着を着るのことその十

「どうだ?あんた達も」
「別にいいわよ」
 困った顔で応える賈駆だった。
「僕別にそういうのいらないから」
「そうか。別にいいか」
「他のお薬が必要な時にお願いするわ」
 これが賈駆の返事だった。
「とにかく今はいいわ」
「わかった。それならな」
「ええ。それにしても華陀さんって」
「俺は?」
「確か百二十歳だったわね」
 あまりにも年長でだ。賈駆も彼をさん付けだった。
「そうだったわね」
「そうだ。それがどうかしたか?」
「若く見えるわね」
「いつも健康には気をつけているからな」
「いや、その限界超えてるから」
 これは誰が見てもそうだった。
「仙人じゃないの?実は」
「仙術もしている」
 実際にそうだというのである。
「あれも中々いいな」
「やっぱりそうだったのね」
「それじゃあそれでな」
「ええ、それでよね」
「薬が必要なら言ってくれ」
 医師としての言葉だった。
「その時はな」
「わかったわ。それじゃあね」
 こうした話をしてだった。賈駆達は華陀と別れた。そうしてだ。
 董白の屋敷に戻る。するとそこにだ。
 董卓がいてだ。笑顔で彼女達を迎えるのだった。
「お帰りなさい」
「あれっ、姉さん劉備さんのところにいたんじゃ」
 彼女のところでメイドをしている。実は賈駆もそうだったりする。二人は表向き死んだことになっているので劉備のところにいるのだ。
 しかしだ。それでもだったのだ。今董卓はここにいる。それで妹である董白が尋ねたのである。
「それでどうしてここに?」
「実は劉備さんが」
「あの人が?」
「そうなの」
 こう話すのだった。
「戻っていいって言ってくれて」
「じゃあこれからは」
「そう。私も詠ちゃんも」
 賈駆もだというのだ。
「二人共ね」
「このお屋敷に戻っていいのね」
「流石にまだ死んだことにはなってるけれど」
 それはまだだというのだ。
「それでもね」
「これからはまた一緒に」
「そう。暮らせるから」
 にこりと笑ってだ。妹達に話すのである。
「一緒にね」
「劉備さんに感謝しないとね」
 こうした話もあった。そしてだ。
 その劉備はだ。今はテリーにこう言われていた。
 屋敷の中でくつろいでいる彼女にだ。テリーは言ったのである。
「メイドさん達はあれでいいんだな」
「はい、ずっとここにいるままもです」
「何か召使いみたいで駄目っていうんだな」
「それに妹さんと離れ離れのままなのも」
 そうしたこともだとだ。劉備は仕事をしながら笑みを浮かべてテリーに話す。
「可哀想ですから」
「優しいな、相変わらず」
 劉備のその言葉を聞いてだ。テリーは微笑んで述べた。
「そうした優しい性格だからだな。あんたはここまで来れたんだな」
「優しいですか?私は」
「ああ、優しいさ」
 まさにそうだとだ。テリーはその微笑みで劉備にさらに話す。
「優し過ぎる位だよ」
「私は別に」
「ここの世界の娘達は皆優しいな」
 テリーも温かいになっている。
「あんまりにも優しいからかえって心配になる位だよ」
「優し過ぎるからですか」
「俺は父さんをギースに殺されて」
 過去の話をはじめる。テリーの幼い頃のだ。
「ずっとアンディとな。タン先生に育てられてきて」
「苦労されたんですね」
「タン先生もな。優しいんだよ」
 彼とアンディにとってはだ。かけがえのない存在なのだ。タンもまた。
「あの人がいてくれてどれだけよかったかな」
「確かに。タンさんも凄くいい人ですね」
「色々辛いこともあったさ」
 これまでの人生でだ。テリーは狼として生きそうしたことも味わっていた。
 それ故にだ。今劉備に話すのだった。
「それでも。アンディがいてタン先生がいて」
「他の方もいたからですか」
「俺はやっていけた」
「そうですね。あちらの世界の方も優しい方が多いですね」
「そうじゃない奴もいるけれどな」
 あからさまな悪人もだ。いるにはいるのは確かだった。
「けれど。確かに優しい奴が多いよな」
「そしてテリーさんもですね」
 他ならぬテリーにもだ。劉備は言うのだった。
「とても優しい方ですね」
「ははは、俺もか」
「皆さんから聞いています。そのことは」
「だったらいいんだけれどな」
「それと気になっていたことですが」
 ここでだ。劉備はテリーに尋ねた。
「テリーさんはギースさんとの闘いの後でギースさんを助けようとされましたよね」
「ああ、あの時だな」
 ギースタワーでの最後の決戦の時にだ。パワーゲイザーを受けて吹き飛びビルから落ちようとするギースを助けようとしたのだ。
 無意識に手が伸びた。その時の話だった。
「あれはな。当然だったな」
「当然だったのですか」
「ああ、俺にとってはな」
「狼だからですか?」
 劉備は首を少し右に傾げさせてから述べた。
「テリーさんは狼だからギースさんを」
「そうなるな。あいつは確かに父さんの仇だ」
 このことは否定できなかった。何があろうともだ。
「それに悪事を繰り返してきた。碌でもない奴だけれどな」
「それでもなんですね」
「本当に自然に手が出たんだよ」
 そうなったというのである。
「あの時はな」
「狼の優しさでしょうか」
 劉備は気付いた。テリーのその優しさは何かというと。
「テリーさんの優しさは」
「そうかもな。それでギースもな」
「ギースさんもですか」
「あいつは優しさはともかくとしてな」
「狼なんですね」
「ああ、あいつも狼なんだよ」
 そうだというのだ。ギースもまただ。
「クラウザーの奴もだけれどな。俺達は狼なんだよ」
「狼、誇りあるですね」
「そうした優しさなんだろうな。俺の優しさは」
 こう劉備に話すのだった。そうしてだった。
 劉備は今は微笑みだ。テリーに述べた。
「では泉では」
「ああ、楽しもうな」
 テリーはこのことにも笑顔で応える。劉備はテリーの優しさはどういったものかも知ったのである。


第百二十七話   完


                         2011・12・7 
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