イベリス
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第七十一話 神仏を感じてその四
「捕まる筈がないのです」
「魔術で簡単に逃げますね」
「難を逃れます」
「そういえばです」
咲もここで言った。
「魔女狩りが言う魔女の魔法は」
「かなりのものですね」
「箒に乗ってお空を飛ぶだけでなく」
これが魔女で最も有名な魔法であろう、最早魔女というと箒で空を飛ぶ姿がトレードマークとなっている程だ。
「疫病流行らせたり天候を操ったり」
「かなりですね」
「仙人みたいです」
咲はこうも言った。
「中国や日本の」
「私もそう思います、変身も出来ますし」
「滅茶苦茶凄いですよね」
「その様な力があれば」
それこそというのだ。
「捕まる筈がありません」
「絶対にないですね」
「仮に捕まっても」
そうなってもというのだ。
「簡単に逃げられます」
「お空を飛んだり姿を変えて」
「そう出来ますので」
だからだというのだ。
「絶対にです」
「捕まらないですね」
「そうです、魔女狩りはその時点でおかしいのです」
「そんな力があるなら捕まらない」
「そうなのですから」
「魔女狩りはおかしいんですね」
「そうです、それも全てはです」
速水は咲に眉を顰めさせて述べた。
「異なる宗教や宗派を認めない」
「その考えからくるものですか」
「そうです」
まさにというのだ。
「元々魔女は他の宗教の存在ですから」
「何か北欧神話とかケルト神話のですね」
「あちらの流れなので」
それでというのだ。
「悪魔の下僕とされていましたが」
「実はそちらで」
「ああして弾圧されていたんですね」
「そうでした」
まさにというのだ。
「あちらは」
「酷いことですね」
「尚共産主義の弾圧も同じです」
「共産主義って宗教否定してますよね」
「ですが自分達以外は認めないので」
その為多くの血が流れてきた、これはナチスも同じだ。国家社会主義と共産主義はその本質は同じだったのだ。
「ジャコバン派と同じです」
「フランス革命の」
「ジャコバン派からナチスやソ連が生まれています」
「そうなんですか」
「ジャコバン派が最初に宗教を否定しました」
即ち無神論だったのである。
「そして自分達の思想を絶対として」
「他の人達を弾圧したんですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「ジャコバン派は疑わしい人まで全てギロチン台に送り」
「ソ連それにナチスもですか」
「敵とみなしたなら」
自分達と違うとだ。
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