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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百二十六話 ロック、狼を知るのことその四

「最初はこの感情が何かわからなかった」
「だが今はか」
「わかってきた。だからだ」
「新撰組が消え去っても共に」
「誠と共に生きよう」
 それは忘れない。そしてそれと共になのだった。
「二人でな」
「わかった。それではだ」
 小次郎もだ、顔を赤らめさせてだ。
 鷲塚の言葉に応えた。こうしてだった。
 二人は戦いの後には共にいることを決意した。それを見てだ。
 孫尚香もだ。温かい笑顔になって話すのだった。
「ううん、シャオも何時かはね」
「こうした幸せな話をじゃな」
「うん、シャオもなりたいわ」
 こうだ。黄蓋に夢見る顔で話すのである。
「是非ね」
「その為にはじゃ」
「その為には?」
「シャオ様がより見事なおなごになることじゃな」
「小次郎みたいに?」
「左様。人柄を磨かれよ」
 微笑みだ。話す黄蓋だった。
「さすればシャオ殿もじゃ」
「ああした風になれるのね」
「必ずな。わしにしてもじゃ」
 ここで自分のことを話す黄蓋だった。笑みが何処か妖しい。
「これまで多くの愛を経てきたぞ」
「そういえば祭も昔は色々あったのよね」
「左様、楽しいこともあれば悲しいこともあった」
 そうだったというのだ。
「それを経て今のわしがあるのじゃ」
「その間どういうことがあったの?」
「出会いがあり別れがあり」
 黄蓋は過去を思い出す顔になっていた。その目は優しい。
「そして浪漫とやらもあったのう」
「甘かったの?苦かったの?」
「甘いものもあれば苦いものもあった」
 どちらもあったというのだ。
「言うならあちらの世界の者達が飲むコーヒーみたいなものじゃな」
「コーヒーって苦いだけじゃないの?」
 孫尚香はコーヒーと聞くと顔を曇らせた。彼女にとってはまだそうしたものでしかないからだ。
「あんなのの何処が甘いのよ」
「それがわかる様になれば恋ができるのじゃよ」
「愛がなのね」
「シャオ様も学ばれることじゃ」
 年配者としてだ。黄蓋は孫尚香に優しい微笑みで話す。
「さすれば必ずこの二人の様になれるぞ」
「何かよくわからないけれどわかったわ」
 孫尚香もこう言うのだった。
「じゃあシャオ色々と頑張るから」
「人生の学問をするのじゃ」
「うっ、学問は嫌いだけれど」
 とはいっても記憶力はいいのでだ。一度読んだものは大体頭に入れられる。このあたりは長姉である孫策に似ているとも言える。
「人生の学問なの」
「書だけが学ぶことではないのじゃ」
 こうも言う黄蓋だった。
「生きていく中で学ぶべきものなのじゃ」
「ううん、何か深いわね」
「左様、深い」
 まさにそうだというのじゃ。
「そしてその深いものをだ」
「学んでいくのね」
「さすればよきおなごになる」
 こう話をもっていく黄蓋だった。
「必ずな」
「胸は大きくなるの?」
 このことも尋ねる孫尚香だった。
「姉様達みたいに」
「多分なるじゃよ」
 何故かここでは断言しない黄蓋だった。
「孫家はそういう家系じゃからな」
「胸の大きくなる家系なの?」
「大殿が巨大じゃった」
 まずは三人の母からだった。
「そして雪蓮様も蓮華様も見事じゃ」
「形いい?」
 大きさ自体は普通に大きいのが二人なのだ。
「けれどシャオは平らだから」
「誰でも最初は平らじゃ」
「そうなの?」
「わしとて幼き頃は平らじゃった」
「それって何時なの?」
「そんなことは忘れてしまったわ」
 黄蓋も年齢の話については顔を曇らせてだった。
 
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