八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六百七十二話 朝はそうなったその十一
「だがじゃ」
「美学はですね」
「何があっても守る」
「それがマッドサイエンティストの絶対条件ですね」
「例えばわしは武器を持たぬ者は一切巻き込まぬしな」
「手出しもされないですね」
「特に子供にはな」
何があってもという口調であった。
「そうしてな、外道でないとな」
「命は奪わないですね」
「虫一匹じゃ」
それこそというのだ。
「殺さぬ、これはじゃ」
「守られていますね」
「この宇宙に来て二百億年になるが」
その間はというのだ。
「絶対にじゃ」
「そうした命は奪わない様にですね」
「してきた、例えば生きものを使ってな」
「生体実験ですね」
「よくモルモットやマウスを使うが」
それでもというのだ。
「わしは使ったことがない」
「いつもその辺りのならず者使われてますね」
「捕まえてきてな」
勿論強制である。
「そしてじゃ」
「死ぬまで実験に使われていますね」
「遊びで殺す時もな」
これも博士にとっては常である。
「そうしておるが」
「モルモットやマウスにはされないですね」
「罪のない命を奪う趣味はない」
博士は素っ気なく言った。
「ましてやいたぶる下衆な趣味もじゃ」
「ないですね」
「そうしたものは持ち合わせておらぬ」
一切というのだ。
「だからじゃ」
「モルモットやマウスは使わないで」
「ならず者やそのクローンをじゃ」
そうした者達をというのだ。
「使っておる」
「そうですよね」
「それがわしの美学じゃ」
野上君に対して話した。
「絶対に守るものじゃ」
「武器を持たない人には手出しをせず」
「特に子供にはな」
「それでならず者でないとですね」
「危害は加えぬのじゃ」
「そうですね」
「ナチスのマッドサイエンティストについては色々言われているが」
ここで博士はふと言った、この時代においてもナチスといえば残虐非道であるというメージが極めて強い故に。
ページ上へ戻る