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ハッピークローバー

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第三十七話 夏の食べものその九

「あの人にしてもそうで」
「ミスタータイガース藤村さんとか」
「背番号十ね」
 留奈は藤村と聞いて言った。
「確かあぶさんのモデルよね」
「えっ、あれ名前から景浦さんだろ」
 成海は留奈の今の言葉にお好み焼きを食べる手を止めて言った。
「戦死した」
「いや、物干し竿バットでしょ」
 留奈は成海にこのことから返した。
「だったらね」
「藤村さんか」
「そうじゃないの?」
「そっちか?」
「違うかしら」
「何か元は近鉄にいた人って聞いたけどな」
 長渕洋三がそうであったと言われている、投打二刀流の選手でありかつての近鉄で数少ない活躍した選手だった。
「けれど景浦さんもな」
「入ってるの」
「そう聞いてたけどな」
「そうだったのね」
「ああ、けれど言われてみたらな」
 成海は留奈に考える顔になって応えた。
「藤村さんもな」
「入ってる?」
「そうかもな」
 否定せず述べた。
「言われてみたらな」
「色々入ってるの」
「そうかもな」
「そうだったのね、あぶさんって」
「ホークスだけれどな、チームは」
 それでもとだ、成海はさらに話した。
「阪神入ってるのは間違いないな」
「水島先生阪神ファンだったの」
「みたいだな」
 成海はこのことも否定しなかった。
「阪神やたら漫画に出してたし」
「そうだったのね」
「巨人は出さないでな」
 野球狂の詩ではおそらく半分が阪神との試合であった、そして巨人が出ることは数える位しかなかった。
「阪神が敵でもな」
「出ていたの」
「主人公が阪神に入った場合もあるしな」
 男どアホウ甲子園である。
「それで最後長嶋さん三振に打ち取ってるし」
「それは間違いないわね」
 留奈もここまで聞いて確信した。
「水島先生阪神ファンだったのね」
「やっぱりそうだよな」
「阪神が好きなのは嬉しいわ」
「今は滅茶苦茶強いしな」
「毎年日本一だしね」
「いいよな、阪神が強いと」
 成海はこのことについては満面の笑顔で話した。
「それだけで幸せだよ」
「阪神が強いだけでね」
 かな恵も笑顔で言ってきた。
「もうね」
「それだけでな」
「幸せよね」
「そうだよな、些細なことでも」
「それでもね」
「それだけでな」
 贔屓のチームが勝つだけでもというのだ。
「嬉しいよな」
「中等部の特進科で凄い虎キチの子いるしね」
「ああ、スキー部のな」
「彼なんかもう幸せってね」
「というか人生の殆ど阪神だよな」
「そうよね」
「あそこまでいったら幸せだろうな」
 成海はかな恵に笑って話した。 
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