老いる神々
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第二章
「霜の巨人シアスィだ」
「シアスィ?そういえばだ」
オーディンはその名を聞いて察した、顔が考えるものになっている。
「先日あの男の国でトールが戦ったな」
「そうだったな、あいつはまた随分暴れてだ」
ロキもそれはと頷いた。
「随分殺したらしいな」
「そのことを恨んでか」
「イドゥンに呪いをかけてだ」
「治らない怪我をさせてか」
「そして今我等を苦しめているな」
「そうだな」
「呪いを解くにはシアスィを殺すことだ」
ニョルズはまた神託を話した。
「そうすることだ」
「わかった、ではだ」
オーディンはここまで聞いて頷いて述べた。
「すぐにトールにあの者の国に行ってもらおう」
「待て、相手も馬鹿ではないぞ」
ロキはトールに巨人を殺させてことの解決を図ろうとしているオーディンに対して止める様に話した。
「だから隠れていてだ」
「そうは見付からないか」
「そうだ、トールならあの者の国ごと滅ぼすだろうが」
「そこまでするとな」
「他の巨人の国も黙っていない」
「そして一斉に我等に向かって来るな」
「そうなれば厄介だ」
全ての巨人達を敵に回してはというのだ。
「だからだ」
「今トールを送ることはないか」
「危険だ、それよりもだ」
ロキは笑って話した。
「ここはおびき出してだ」
「そのうえでか」
「倒すべきだ」
「そうなのか、ではどうしておびき出す」
「あの者はイドゥンに仕掛けてきたな」
ロキはオーディンにこのことを話した。
「それならだ」
「わかった、あの林檎をか」
「そうだ、あの者に黄金の林檎をやるとだ」
その様にというのだ。
「言ってだ」
「このアスガルドに招くか」
「そうすればいい、そしてだ」
ロキはここで邪な笑みを浮かべた、そうしてオーディンにさらに話した。
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