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董仙杏林

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第二章

「杏や桃の木はな」
「はい、それではです」
「これより治してもらった時はです」
「杏の木を差し出させてもらいます」
「それではな」
 董奉も頷いてだった。
 彼は人を治す度に杏の木を貰う様になった、そのうえで人々を助け続けているとだった。
 杏の木は次第に増えていってだった。
 何時しかその数は十万本を超える様になった、しかもだ。
 その木達にだった。
「これはまた」
「見事に実が実っていますな」
「どの木にも」
「そうなっていますな」
「うむ、これはいい」
 董奉は人々と共に十万本以上の木にたわわに実った実達を見て笑顔で話した。
「実にな」
「食べても美味しいですし」
「確か杏の実は薬にもなりますね」
「だからですね」
「これで薬も作ってだ」
 実際にというのだ。
「そしてだ」
「その薬で、ですか」
「これからもですか」
「私達を」
「治していこう」
 こう言うのだった。
「そうしていいか」
「何と有り難いお言葉」
「仙術だけでなく薬でも我等を助けて下さるとは」
「これからはそうして頂けるとは」
「仙人は何の為にいるのか」
 董報は考える顔で述べた。
「それは何故か」
「ただ凄い力を備え」
「不老不死になるだけではない」
「さらにですね」
「人を助ける為にもな」 
 その為にもというのだ。
「あるもの、だからな」
「それで、ですか」
「これまでも我等を治して下さり」
「これからもですか
「杏の薬まで作って頂いて」
「そうするとしよう」
 董奉は確かな声で言ってだった。
 すぐに杏から薬を作ってだった。
 それを人々に差し出してそのうえでだった。
 彼等を助けていった、そしてだった。
 以後彼は薬でも知られる様になり廬山も杏でも知られる様になった。そしてこの杏達は。
 見事な林になり董奉の名を受けてだった。
 董仙杏林と呼ばれる様になった、漢代から今に伝わる話である。


董仙杏林   完


                 2022・5・13 
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