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悪魔のカレー

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第三章

「こんなカレーははじめてだ」
「そうですか」
「だが俺はカレーならだ」
 この料理ならというのだ。
「何でもだ」
「召し上がられてきましたか」
「そうだ、だからな」
 それ故にというのだ。
「このカレーもだ」
「完食されますか」
「カレー好きの誇りに賭けてな」
 こう言ってだった。
 山中は身体中を真っ赤にし汗をサウナに入っているかの如く流しつつもそのカレーを食べていった、そうして。
 完食してだ、ディーヴァに言った。
「俺はやったぞ」
「お見事です、では完食の記念写真を」
「撮ってくれるか」
「はい、よく完食されましたね」
「言ったろ、俺はカレーが生きがいなんだ」
 山中は瀕死の様でそれでいてやり遂げた顔で語った。
「だからな」
「どれだけ辛いカレーもですね」
「完食するんだ、しかしな」 
 それでもとだ、彼は言った。
「ここまで辛いカレーはな」
「はじめてでしたか」
「ああ、凄かった」
 その瀕死でかつやり遂げた顔で語った。
「はじめてだった」
「それは何よりです」
「ああ、よくこんなカレー作ったな」
「研究の成果です、では後日正式にメニューに出しますので」
「そうするんだな」
「その時またお楽しみ下さい」
「次は普通のカレーにするな」
 こう言ってだった。
 山中は辛さを抑えかつ熱くなり過ぎた体温を抑える為にだった。
 口の中に氷を含んだうえで水を飲んだ、そうして汗をひかせてから職場に戻った。そこでこのカレーのことを部下達に話すと。
 このカレーの話は忽ちのうちに世間に広まった、悪魔の様に辛いカレーだと。そして一部の勇者のみがチャレンジする様になった、そして完食出来た者はその称号を本物とした。そこに山中もいたが彼は二度とそのカレーを食べなかった。悪魔だと言って。


悪魔のカレー   完


                  2022・9・28 
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