八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六百七十一話 野上君の戻る先その六
「利益としてはな」
「あまり多くはないんですね」
「むしろ他の分野でじゃ」
「利益を出してますね」
「タワシでも売った方がじゃ」
「戦艦売るよりもですか」
「遥かに利益になるのじゃ」
そうしたものを売る方がというのだ。
「タワシは皆使うしな」
「だから売れますね」
「それに設備や技術の投資もな」
こちらもというのだ。
「全くじゃ」
「兵器と比べて」
「少ないからのう」
「儲けになるんですね」
「そういうことじゃ」
「世の中そんなものですね」
「そして商売をするとな」
博士はここでは経済活動全般を商売と呼んだ、こうした表現はこの時代でも存在しているものである。
「戦争は困ったものになる」
「正直商売の邪魔ですね」
「そうじゃ、戦争になってはじゃ」
「商売が出来ないですね」
「貿易だの経済活動は平和であってこそじゃ」
この状態が前提でというのだ。
「それでじゃ」
「出来るもので」
「戦争なぞ起こってはな」
到底とだ、博士は話した。
「出来るものではじゃ」
「ないですね」
「左様、だからな」
「戦争については」
「起こらぬことがな」
「第一で」
「一番よい」
そうだというのだ。
「それで連合であるが」
「戦争は起こってないですね」
「千年の平和が続いてな」
「商売も盛んですね」
「そして盛んになればなる程な」
それだけというのだ。
「お互いの経済的関係も深まってじゃ」
「戦争が起こる可能性も減る」
「そういうことじゃ」
まさにというのだ。
「これがな」
「そうなんですね」
「しかしな」
博士はここでこうも言った。
「わしはそうしたことにはじゃ」
「興味がないですか」
「マッドサイエンティストであるからな」
自分でこう述べた。
「平和だのとは無縁じゃ」
「マッドサイエンティストは平和を気にしないですか」
「むしろ乱す存在じゃ」
「だから暴れられますか」
「うむ、そしてな」
それでというのだ。
ページ上へ戻る