子猫を育てる優しい親

「俺がな」
「バクストンのお散歩中によね」
「丸太の割れ目で見付けたんだよ」
　エイミーが名を呼んだ犬を見つつ話した。
「この娘をな」
「ポリーをね」
「ああ」
　今度は猫を見て話した。
「ニャアニャア鳴いていてな」
「そこにいて」
「最初は親が傍にいると思ってな」
「お家に帰ったわね」
「ああ、けれど気になって夜また行ったら」
　その丸太のところにというのだ。
「まだいてな」
「もう親に見捨てられたと思ってね」
「保護したんだよ」
「それで蚤だらけでね」
「腹ペコだったけれどな」
　それでもとだ、ハンクは笑って話した。
「折角だしな」
「獣医さんに見せて」
「夜だったのに診察してくれてな」　
　そうしてというのだ。
「それからうちで引き取って」
「育てようと思ったら」
「俺と女房と娘達でな」
「それがね」
「こいつがやってくれたんだよ」
　バクストンを見つつ話した。
「ずっとポリーに寄り添ってな」
「まだ目も見えていなかったのに」
「保護した時は生後一日位でな」
　まさに生まれたばかりだったというのだ。
「それでな」
「そのうえでよね」
「ああ」
　まさにというのだ。
「身体舐めて世話をしてくれてな」
「それでよね」
「目が開いてからもな」
　成長してというのだ。
「この通りだ」
「育ててくれてるわね」
「赤ん坊の頃から子猫の今も」
　まさにというのだ。
「俺達の誰よりもな」
「愛情を以てよね」
「そうしてな」　
　そのうえでというのだ。
「育てて」
「生きものの種類は違っていても」
「それでもな」
「親子になっているわね」
「ああ、凄いもんだよ」
　ハンクはエイミーに温かい声で話した。
「本当にな、だから俺はな」
「家族として」
「あの二匹がずっと幸せになれる様にな」
「頑張っていくわね」
「一緒にな」
　こう話すのだった。
「そうしていくよ」
「頑張ってね、じゃあ私もね」
「ああ、これからもだな」
「少しでも幸せに過ごせる生きものがいられる様にするわ」
　カートやポリーの様なとだ、このことを誓ってだった。
　エイミーは活動を続けていくことを誓った、そして頑張っていくのだった。


子猫を育てる優しい親　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２２・９・２５