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イベリス

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第六十八話 午前と午後でその三

「そうだよ、ただ日本から行く人は」
「日本で凄い成績を出してですね」
「行く人だからね」
「最初からメジャーですね」
「そうだよ、そこである程度出たら」 
 試合にというのだ。
「それでね」
「年金も貰えるんですね」
「だからいいんだ、けれどね」 
 ここでだ、部長は。 
 考える顔になって首を傾げさせてそうしてこう言ったのだった。
「アメリカのスポーツ選手引退した後破産する人多いらしいよ」
「現役の時の収入で暮らしていて」
「引退したらそれがなくなるからね」
「そのままの暮らしでいるから」
「だからね」
 それでというのだ。
「破産する人がね」
「多いんですね」
「それで遊ぶ人も多いし」
 現役時代の収入の間隔でというのだ。
「それでなんだ」
「破産する人多いんですね」
「日本でもちらほら聞くしね」
 日本のスポーツ選手でもというのだ。
「破産する人って」
「あっ、時々ネットで見かけます」
 咲もふと思い出して言った。
「そうしたお話を」
「そうだよね」
「時々でも」
「日本でもそうしたお話があるし」
「アメリカではですね」
「結構問題になってるらしいよ」
 この国ではというのだ。
「どうもね」
「年金があっても」
「そうなんだ、まあ年金貰えるなら」
「コツコツ使っていったら」
 その時の収入に相応しい生活を送ればというのだ。
「それでね」
「いいですよね」
「そうだけれどこれがね」
「難しいんですね」
「人間生活水準って上がると」
 収入が増えてというのだ。
「中々下げられないから」
「だからですね」
「引退した後で、ですね」
「破産するケースがあるんだ」
「難しいところですね」
「その時の収入に合わせた生活を送るって」
 部長はどうかという顔で話した。
「これがね」
「難しいんですね」
「そうなんだ」
 これがというのだ。
「どうもね」
「そうですか」
「けれどそこを何とかしないとね」
「破産しますね」
「そうなるよ、ずっと質素なままでいられたら」
 収入が増えてもというのだ。
「その人はかなり凄いよ」
「伊藤博文さんみたいに」
「あの人はそうだったみたいだね」
 明治の元勲であるこの人物はというのだ。
「服も質素っていうか物凄いボロボロで」
「食べるものは滅茶苦茶粗食で」
「お家もそんなにでね」
「とても偉い人に見えなかったそうですね」
「物凄くあけっぴろげで気さくで」
 そうした人物だったという。 
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