イベリス
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第六十八話 午前と午後でその一
第六十八話 午前と午後で
一学期の終業式が終わってその後のホームルームで解散となってだ、咲はすぐに漫画研究会の部室に向かった。
そして部室に入ると部長がもういてだった、こう言われた。
「もう僕達三年生は引退するけれどね」
「ああ、そんな時期ですね」
咲も言われて頷いた。
「本当に」
「そうだけれどね」
「それでもですか」
「部活には顔を出すよ」
「そうされますか」
「時々ね、気分転換に漫画読む位してもいいよね」
「いいと思いますよ」
咲は部長ににこりと笑って答えた。
「それも」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
「受験勉強があっても」
尚部長をはじめとしてこの部活の三年生は皆成績優秀である、特に副部長はかなりの大学に行けると言われている。
「それでもですよね」
「息抜きは必要だよ」
「そうですよね」
「それで僕の息抜きはね」
部長は自分の席に座った咲に笑って話した。
「何と言ってもね」
「漫画ですよね」
「それなんだ、ラノベやゲームも好きだけれど」
それ以上にというのだ。
「本当にね」
「漫画が第一ですね」
「一時間勉強して十分も読めば」
それでというのだ。
「頭がリラックスしてね」
「また勉強出来ますか」
「そうなんだ」
「そうですか」
「こうした息抜きはいいよね」
部長は咲に笑って話した。
「別に」
「というか漫画読まないでずっと勉強しろとか」
そうしたことはとだ、咲は答えた。
「変な毒親ですね」
「今だとそう言うよね」
「はい、ずっと勉強してもです」
例えそうしてもというのだ。
「成績はです」
「上がらないからね」
「かえって疲れて」
「頭がね」
「そうなって」
「長い時間勉強するだけだよ」
「それじゃあ意味ないんですよね」
咲は自分が気分転換をして頭をすっきりさせてまた勉強した時のことを思い出しながら部長に話した。
「頭に入らないと」
「勉強してもね」
「どうして勉強するか」
「頭に入れる為だからね」
「ですから」
そうであるからだというのだ。
「やっぱりです」
「気分転換もしてね」
「そうした時間も入れながら」
そのうえでというのだ。
「やっていくことですね」
「本当にね」
「それが正しいですね」
「そうしたことをわかっていない親なんてね」
それこそというのだ。
「まさに毒親だよ」
「それに入りますね」
「昔だと教育ママとか教育パパとかね」
その様にというのだ。
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