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オズのボームさん

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第一幕その六

「オズの国に入ってよ」
「知ったことね」
「本当にね」
「アメリカは広いからね」
 ドロシーと同じくこの国からオズの国に来た魔法使いも言います。
「海のない州も多いからね」
「カンサスがまさにそうだったわ」
「そうだったね」
「カルフォルニアからオーストラリアに行く旅の時は食べたわ」
「その時はだね」
「途中でオズの国に行ったけれど」
 オズマやチクタク達とはじめて会った時のことです。
「本当にカンサスではね」
「食べたことがなかったね」
「海を見たことすらなかったわ」
 そうだったというのです。
「ずっとね」
「そしてオズの国に来てだね」
「海もよく見られる様になったわ」
「死の砂漠も海岸にまで至ったしね」
「海岸といってもない部分も多いし」
 死の砂漠もそうなっているのです。
「だからね」
「今はだね」
「海もよく見られる様になって」
「こうして海の幸もね」
「食べられる様になったわ」
「そうよね」
「僕もこんなものは外の世界では食べたことがなかったよ」
 ボームさんも言ってきました、お箸を丁寧に使いながら。
「中華料理は当時のアメリカにも中華街はあったしね」
「その頃からあったんですね」
「うん、それで中華料理も知っていたよ」
 そうだったとです、神宝に答えました。
「僕もね」
「そうだったんですね」
「けれどね」
 それがというのです。
「こうしたお鍋もお寿司もね」
「食べたことがなかったですか」
「日本という国は知っていても」
 それでもというのです。
「名前だけのことだったよ」
「そうでしたか」
「お寿司は僕にとってはとても不思議な食べもので」
 そうしてというのです。
「とても美味しい食べものでもあるよ」
「不思議で美味しい」
「そうしたね」  
 二つの意味を持つというのです。
「食べものだよ」
「お寿司はそうなんですね」
「オズの国にお寿司が入って定着して」
 そうなってというのです。
「僕も嬉しいよ」
「思えばね」
 オズマはここでこう言いました。
「オズの国もボームさんが外に世界にいる時と比べて変わったわ」
「それもかなりね」
 ドロシーも言います。
「変わったわね」
「本当にね」
「色々な人がいる様になったわね」
「あの時と比べても」
「そうよね」
「黒人やアジア系、ヒスパニックの人達も増えて」
 オズの国にです。
「そしてテレビや冷蔵庫、洗濯機が出て」
「パソコンも携帯電話も出て」
「スマートフォンまで出て」
「しかもね」
 ドロシーはさらに言います。 
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