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お店は場所も大事

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第二章

「駅前にお店置いてです」
「おう、繁盛してるらしいな」
 大林も笑顔で応えた。
「ネットでも評判らしいな」
「今じゃ駅前の新しい名物になっています」
「それは何よりだ、しかし悪いな」
 ここで大林は下田にカウンターの中か申し訳なさそうに言ってきた。
「お前にそのことはな」
「お店の場所はですか」
「教えていなかった、ここは人が多くてな」
 自分の店がある場所はというのだ。
「それで意識してなかったからな」
「それで、ですか」
「お前にラーメンや接客は教えてもな」
 このことはというのだ。
「場所のことはな」
「そうでしたか」
「しかし場所もな」
「はい、いいとですね」
「繁盛出来るんだ、じゃあこれからはな」
 大林は愛弟子に笑顔で話した。
「駅前で頑張って俺を超えろよ」
「師匠をですか」
「ああ、弟子は師匠を超えるもんだ」
 弟子に笑って話した。
「それが務めだからな、だからな」
「俺はですね」
「俺を超えろよ」
「そうなる様にします」
 下田も約束した、そして今は師匠のラーメンとてつもなく美味いと感じるそれを食べたのであった。
 下田の店は繁盛し続けた、その中で。
 あの時のサラリーマン風の客がふらりと来た、そして彼のラーメンを食べて言った。
「前より美味いね」
「それはどうも」
「定年前にいいもの食べられたよ」
「そうですか」
「しがないサラリーマンだけれど女房とラーメンは好きでね」 
 それでというのだ。
「あんたにちょっと言ったけれどね」
「あの時ですね」
「繁盛してよかったよ、定年してからも時々来ていいかな」
「はい、是非」
 下田は笑顔で応えた、そうしてだった。
 彼にもラーメンを出し続けた、そうして繁盛する店の中で楽しくラーメンを作っていったのであった。


お店は場所も大事   完


                     2022・9・22 
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