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何故自分を奇麗と言わないか

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第二章

 女性は扉を閉めてその場を後にしたが友希のクラスメイト達は彼女に一斉に尋ねた。
「な、何あの人」
「無茶苦茶美人じゃない」
「超絶美形じゃない」
「オーラまで出てたわよ」
「お姉ちゃんなの」
 友希は友人達に話した。
「沙織っていうの」
「というと川神沙織?」
「確か売れっ子の声優さんよね」
「物凄い美人さんだって写真観て思ったけれど」
「そういえばそうね」
 クラスメイト達はそれぞれのスマートフォンでその名前を検索して出てきた画像を確認して話した。
「この人じゃない」
「実際観たら画像の十倍奇麗じゃない」
「よく美人声優って言われるけれど」
「超絶美人だったわね」
「子供の頃からなのよ。しかも性格もいわゆるぐう聖でね」
 友希はクラスメイト達に苦笑いで話した。
「性格って人相に出てお顔作るっていうけれど」
「そういえば人相もよかったわ」
「もう女神って感じで」
「凄かったわね」
「それでなのよ、駄目なのは絵と字だけれど」
 この二つは駄目だというのだ。
「ああしてね、超絶美人だから」
「友希ちゃんとしてはなの」
「自分を美人と思えない」
「そうなのね」
「そうよ、あのお姉ちゃんがいたら絶対に言えないわ」
 ここでも苦笑いで言った。
「本当にね」
「難しいところね」
「あんなお姉さんがいたらね」
「確かに言えないわね」
「わかってくれたわね、じゃあ夜遅いし声のトーン下げて」
 友希は友人達にあらためて話した。
「楽しみましょう」
「ええ、パーティーをね」
「そうしていきましょう」
 友人達もそれはと応えてだった。
 パーティーを楽しんでいった、そうしてだった。
 皆で仲良く眠りに入った、それから少なくともクラスメイト達は彼女をやたら可愛いとか奇麗とかは言わなくなった、そして。
 友希は自分の外見だけでなく人の外見も言わなかったがそのことも言うのだった。
「それで比べられたらチートには勝てないからね」
「友希ちゃんのお姉さんね」
「確かにあの人には勝てないわね」
「絶対に」
「そう、だからね」 
 こう言ってそうしたことを言わないのだった、彼女のこのことは一生変わらなかった。姉のことがいつも頭にあるので。


何故自分を奇麗と言わないか   完


                   2022・9・21 
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