一生の思い出はお天気次第
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二章
梓は彼女にだ、職場の休憩時間に笑顔で話した。
「佳奈の言う通りにね」
「屋内でしてよかったでしょ」
「ええ、お外での式って素敵でね」
「結婚式は一勝の思い出よ」
「そうしたものだからね」
それでというのだ。
「素敵なものにしたいし」
「あんたそれでいきたかったけれど」
「寒くて大雪なら」
そうした天気ならというのだ。
「やっぱりね」
「しない方がいいわね」
「ええ」
その通りだとだ、梓は佳奈に答えた。
「若しやってたら素敵などころか」
「最悪の思い出になっていたわね」
「散々でね」
「だからよ、幾らそうしたくても」
「その時の状況を見ることね」
「さもないと素敵な思い出どころか」
「最悪の思い出になるわね」
梓は自分から言った。
「そうなるわね」
「そうよ、そうならない為にも」
まさにというのだ。
「今回みたいにね」
「幾らそうしたくても状況を見て考える」
「気温とかお天気も」
「そうしてよ」
「考えて決めることね」
「そうすれば一生の素敵な思い出になれるわ」
「そうね、けれど佳奈よくそんなことわかってるわね」
梓は佳奈の言葉に頷きつつ彼女に怪訝な顔で問うた。
「どうしてなの?」
「いや、小学校の時運動会するのに台風来て」
「そこでやったの」
「先生が無茶言ってね」
「それで最悪の思い出になってるの」
「運動会は大好きなのに」
佳奈はこのことは憮然として話した。
「だからね」
「今こう言うのね」
「そうよ、あんたはそうならなくてよかったわ」
心からだ、佳奈は梓にこうも話した。そうして彼女にこれからも幸せにと笑顔で告げることもした。
一生の思い出はお天気次第
2022・9・18
ページ上へ戻る