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レーヴァティン

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第二百六十話 条約を結びその十三

「人間じゃないっていうと」
「餓鬼かしらね」
 双葉はてっさをぽん酢で食べながら応えた。
「言うなら」
「餓鬼だね」
「犬畜生と言うけれど」
 罵り言葉として古来より存在しているものだ。
「けれどね」
「その犬畜生よりもっていうのね」
「醜悪でね、犬とか言うけれど」
「犬の心は奇麗だからね」
「猫だってね、むしろ本能に忠実な分ね」
 それだけというのだ。
「人間より純粋よ」
「それはそうだね、うちの犬なんてね」
 桜子は笑って話した。
「起きた世界のね、ゴールデンレッドリバーの雌だけれど」
「いい娘なのね」
「優しくて大人しくて素直でね」
 そうした性格でというのだ。
「凄くいい娘だよ」
「下手な人間よりいいみたいね」
「頭もいいしね、かなり気弱だけれど」
 それでもというのだ。
「本当にいい娘だよ」
「そう、犬や他の生きものにも心があって」
 それでとだ、双葉はてっさの味を楽しみつつ話した。
「その心はね」
「いいね」
「そうよ、けれど餓鬼はね」
 こう呼ばれる存在はというのだ。
「いつも餓えていて渇いていてね」
「苦しんでいるね」
「それは生前の罪だけれど」
「とことんまで浅ましくて卑しくて下衆だったからね」
「餓鬼に生まれ変わって」 
 そうなってというのだ。
「そしてその心は前世のままよ」
「浅ましくて卑しくてね」
「下衆よ」
 そのままだというのだ。
「それでその性根のままよ」
「苦しんでるね」
「餓えや渇きにね」
 そうしたものにというのだ。
「徹底的にね」
「それでも反省しないでね」
「浅ましいままよ、その餓鬼にね」
「そうした連中はなってるんだね」
「既にね」
 生きているうちにというのだ。
「心がね」
「それで産まれ変わって餓鬼になるんだね」
「身体がね」
 心が既にそうなっていてというのだ。 
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