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イベリス

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第六十七話 運動についてその四

「そうした状況じゃないから」
「独裁者が出る様な」
「独裁者が出る時ってね」
 愛は話した。
「あの時のドイツみたいに」
「とんでもない状況ね」
「あの時のドイツなんてね」 
 ヒトラーが台頭した時はというのだ。
「もう経済が滅茶苦茶で」
「世界恐慌になっていて」
「それでね」
「経済崩壊していたわね」
「一次大戦に負けて」
 まずはこのことがあったのだ。
「洒落になってない賠償金支払うことになっていて」
「それで世界恐慌が起こって」
「もうね」
 それこそというのだ。
「どうしようもなくなっていて」
「藁にもすがりたい状況だったのね」
「それでね」
「ヒトラーが出て来たのよね」
「ナチスがね」
 彼が率いていた政党がというのだ。
「今の日本ああした状況でないしソ連みたいな国でもないし」
「スターリンね」
「レーニンが死んだ後ゴタゴタしていて」
 権力闘争が起こっていたのだ、レーニンの後継者の座を巡ってトロッキーとスターリンが争ったのだ。
「それでスターリンが勝ったけれどね」
「今の日本ソ連みたいな国じゃないし」
「そう、だからね」
「ああした人達が出ることはなのね」
「まずないわ」
「だから安心していいのね」
「人類の歴史でもね」
 愛は考える顔で話した。
「ああした人達もう出ないかもね」
「そうなの」
「だって皆警戒してるから」
 あの様な独裁者達をというのだ。
「洒落になっていないから」
「出ない様にされるのね」
「そう、その国もだし」
 独裁者が出そうな国もというのだ。
「世界中がね」
「警戒するのね」
「それにあの時のドイツみたいな状況にもね」
「なることもなの」
「世界恐慌もだけれど」
 それと共にというのだ。
「戦争に負けても」
「賠償金をなの」
「あんな滅茶苦茶払えって言ったらね」
 一次大戦の時の様にというのだ。
「ああなるってわかったから」
「それでなのね」
「そうは出ないわよ、独裁国家でもね」
「そこで権力闘争しても?」
「ああしたタイプってそうそういないし」
「独裁国家でも」
「全く出ないとは言えないけれど」
 それでもというのだ。
「可能性としてはね」
「かなり低いのね」
「独裁国家でも気をつけるから」
 ああした者達が権力を握らない様にというのだ。
「だって権力握ったらね」
「ああなるから」
「何百人も粛清とかね」
「そうなるから」
「だからよ」
 そうなる危険が高いからだというのだ。
「それでね」
「もうヒトラーやスターリンみたいな人は出ないのね」
「能力もあるしね」
「能力?」
「二人共とんでもないけれど」 
 それでもというのだ。 
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