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イベリス

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第六十七話 運動についてその二

「それでね」
「お互い譲れないものがあるのね」
「そうみたいよ、ただこれでも味はこっちに合わせてるみたいよ」
「東京に」
「お醤油とかね」
「関東と関西じゃお醤油違ったわね」
「そう、全然違うのよ」
 咲に焼きそばをすすりつつ話した。
「これがね」
「あっちは薄口醤油ね」
「そうなの、それでこっちは濃いのよ」
「そうしたお醤油ね」
「だしも違うし」
 こちらもというのだ。
「蕎麦つゆだってね」
「あっちは昆布使うわね」
「他にも色々と違って」
「だしも違うのね」
「そうなってるのよ」
「成程ね」
「それでこのプールは東京にあるから」
 それでというのだ。
「食べるものはね」
「東京の味ね」
「そうなってるのよ」
「合わせてるのね」
「関東で関西の味でも」
 それにしてもというのだ。
「どうしてもね」
「口に合わないわね」
「あっちは言ってるわよ」
 関西の方はというのだ。
「こっちの味が合わないってね」
「ああ、それ私も聞いたことあるわ」
 咲は焼きそばの横にある一緒に買ったコーラを飲みつつ応えた、愛も飲みものも買っているがそちらはサイダーである。
「関西の人おうどんとかに言うわね」
「辛いってね」
「あと鱧食べないとか」
「最近こっちでも食べる?」
 ここで言うのは関東であり東京ではない。
「鱧も」
「私食べたことないわよ」
「そうなの、咲ちゃんは」
「美味しいのかしら」
「関西の人が言うにはそうね」
 愛はこう返した。
「実は私もね」
「食べたことないの、鱧」
「そうなの、だしもいいのが出るらしいけれど」
 鱧の吸いものの話もした。
「頭からね」
「お魚の頭からだしは取るわね」
「こっちでもだけれど」
「あっちじゃ特になのね」
「だしを取って」
 魚の頭からというのだ。
「お吸いもの食べるらしいわ」
「鱧から?」
「甘鯛とか鯖でもね」
「鯖もなの」
「どっちも関西ではよく食べるから」
 そうした魚だというのだ。
「だからね」
「それでなのね」
「鱧も食べて」
「よくお魚の頭でだし取るの」
「それで特に」
「特に?」
「昆布ね」
 これを使うというのだ。 
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