ドリトル先生のダイヤモンド婚式
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十二幕その六
「そしてだよ」
「そうだよね」
「それを何とか乗り越えて」
「そのうえでね」
「二十一世紀を迎えたね」
「二十一世紀になったら」
そうなればというのです。
「もう昭和三十年代と全く違うね」
「同じ国とは思えないわ」
「最早ね」
「日本なのはわかるけれど」
「それでもだよ」
「何か別の国みたい」
「そうなったね、しかも二十一世紀の間も」
その世紀に入ってもというのです。
「街並みも服装も車も変わっていくね」
「身の回りのものもね」
「写真も変わったし」
「カラーはカラーでも奇麗になったわ」
「最初のカラーと比べると違うよ」
「技術が発展したんだ」
その結果だというのです。
「まさにね」
「そうだよね」
「それでここまで変わるね」
「何もかもが」
「カラー技術までも」
「それで日進月歩でね」
その勢いでというのです。
「変わっていっているんだ」
「そうなんだね」
「復興して二十一世紀になって」
「世の中はさらに変わっていく」
「そういうことだね」
「そして僕達が来てね」
先生は自分達もここでお話に入れました。
「直接見る様になったんだ」
「それからも変わってね」
「そう言われるとね」
「日本もそうなったね」
「神戸の街もね」
「そしてお二人もね」
見ればでした、写真の彼等も。
「六十年の間に」
「お子さん達お孫さん達が産まれて」
「曾孫さん達もで」
「日本は変わって」
「お二人も変わったね」
「お若かったのがね」
「お年寄りになったね」
先生は笑顔で言いました。
「そうなったね」
「そうだね」
「六十年の間にね」
「お二人はそうなられたわね」
「そう思うとね」
「凄い時間が経ったね」
「十六年は一昔と言うね」
先生は暖かい目で遠くを見つつ言いました。
「そうだね」
「確か歌舞伎の言葉だった?」
「一ノ谷の」
「丁度この神戸のすぐ近くのお話だね」
「源平の戦いの時のことだね」
「そうだよ、その戦いで活躍した熊谷直実さんが主人公の作品でね」
先生も皆にそうだと答えます。
「そこで熊谷さんがそう言うんだ」
「十六年はだね」
「一昔よ」
「一口に言っても長いよ」
「本当にね」
「けれど六十年はその一昔の四倍位だから」
そこまで長いというのです。
ページ上へ戻る