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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第94話 対決!一龍VSサーゼクス!D×G連合結成!!

side:小猫


ルフェイさんのフロルの風で移動した私達は、現在長い道が続く場所に来ていました。


「イッセー先輩、ここは何処ですか?」
「俺も初めてきたけど親父の話からするにここは三途の道だ。人間界からグルメ界に入ることが出来る3つの道の一つだって言われている」
「えっ!?ここってそんな重要な場所だったの!?」
「勿論他の場所からに比べたら少し安全って意味ですけどね」


 私はイッセー先輩にこの場所について聞くと、何とグルメ界に入るための場所だと知りました。


 それを聞いた部長は凄く驚いた様子でした、だってあの危険地帯であるグルメ界に入れる場所があったんですから。


 でもあくまで他の場所と比べたらちょっとだけ安全……って感じらしいのでまあそうだよね、と思いました。


 グルメ界への入り口は正確には決まっておらず入ろうと思えばどこからでも行けます。しかし海域には死の海流『毒潮』が流れているらしく少し近づいただけで即死するほどの猛毒らしいです。


 じゃあ空からならと言われても巨大なサイクロンが壁を作っていて近づくことが出来ません。運よくそれらを突破できても今度はグルメ界の猛獣に襲われるだけですのでよほど凄い運の持ち主でもなければ侵入は不可能でしょう。


 その3つのルートは直接陸地を渡って行けるので毒潮やサイクロンの影響を受けないようです。まあそれでも相当危険な事に変わりないようですが……


「でも何でこんなところに連れてきたんだ?」
「実際にグルメ界に生息している猛獣達の強さを改めて見てもらおうと思ってな。前は非常事態だったから正直パニックになって余裕は無かったじゃろう?」
「確かにあの時は恐怖でそこまで考えられなかったな。グルメ界の生物を他にも見れるなら有難い」


 イッセー先輩はなぜ三途の道に私達を連れてきたのかと一龍さんに聞くと、彼は改めてグルメ界の生物の強さを見てもらう為に連れてきたと言いました。


 確かにあの時は一龍さん達の方が凄すぎて猛獣をしっかり見れませんでしたからね。阿修羅タイガーやキングレントラーとは多少戦いましたが、他のグルメ界に住んでいる猛獣の事をじっくり見れる機会があるのは嬉しいです。


 アザゼルさんも落ち着いた環境でグルメ界の猛獣の強さを見れるのを有難いと言いました。


「それでどうするんだ?親父が戦うのか?」
「いや、ここにはグルメ界から迷い込んできた猛獣をたった一人で何年も食い止めてきた男がいる。イッセー、お前にいい影響を与えてくれるじゃろう」
「俺に?」


 てっきり一龍さんが戦ってくれると思っていましたが、どうも違うみたいですね。


「そういえば前に一龍さんがグルメ界から迷い込んでくる猛獣から人間界を守っている男がいるって聞いたことがあるよ。もしかしてその人かな?」
「そのとおりじゃ、祐斗君。そやつの名は『愚衛門』と言ってな、戦闘の達人なんじゃ。ワシがこの三途の道を選んだのは君たちにもいい影響を与えてくれると思ったからじゃよ」
「親父がそこまで言うなら相当な人物なんだろうな……会うのが楽しみになってきたよ」


 祐斗先輩の話に一龍さんが同意しました。どうやら一龍さんが最初に三途の道を選んだのは私達の為でもあったんですね、イッセー先輩の言う通り凄い強い人なのでしょう。


「それでその愚衛門という方はどちらに見えますの?」
「この先を暫く歩いていくと丁度グルメ界と人間界の境に着く、そこにおるはずじゃ」
「流石にそこまではいけませんでしたよ……」


 朱乃先輩が愚衛門さんの言る場所を一龍さんに尋ねると、彼はこの先にいると言いました。


 流石にグルメ界の入り口近くに行くにはルフェイさんだけだと危険すぎたのでここにポイントを作ったと彼女は言いますが、誰も彼女を攻めませんでした。


 だって危険なのはみんな分かっていますからね。それに一龍さんがいれば辺りの猛獣達も寄って来ませんので安全です。


「この辺りの猛獣も強いがコイツらなら俺でも油断さえしなければどうにかできそうだ。それでも相当強いけど」
「まだグルメ界ではないからな。お前のように思い油断した奴らがグルメ界の入り口で無残に殺されるんじゃよ。だからそういう奴らを追い返すのにも愚衛門の役目じゃ」
「なるほど、愚衛門って人は人間界を守るだけじゃなくそう言った無謀な奴らも追い返しているのか」


 先輩がこの辺りの猛獣なら何とか出来ると言いました。確かに私達でもがんばれば対処できそうですね。


 でも一龍さんはそういって油断した人たちはグルメ界の入り口で命を落とすと言いました。仮にこの辺りの猛獣に勝てる強さの人がいい気になってる所にグルメ界の強い猛獣に遭遇したら、勝てる気で突っ込んでしまう人もいそうですよね。


 それにゾンゲさんみたいに運が良くて逃げれる人もいるかもしれません。なんかあの人だったらグルメ界の厳しい環境でも運よく生存しちゃうんじゃないかと思ってしまいます……


 愚衛門さんはそう言う無謀な人を追い返す役目も補ってるみたいですね。


 そしてしばらく進んでいくと道の真ん中に誰かが胡坐をかいて座っているのを見つけました。番町のような学ラン……昔の漫画に出てた人みたいな恰好をしていますね。


「あの人が愚衛門って人ですかぁ?」
「うん、そうみたいだね。漂わせている雰囲気も達人のソレだ」


 ギャー君があの人が愚衛門さんなのかと首を傾げると祐斗先輩は首を縦に振りました。静かに座ていますが強者のようなオーラが見えますね。


「愚衛門、久しぶりじゃな」
「……」


 一龍さんが声をかけましたが、彼は全く反応しません。


「なんだ?寝てるのか?」
「目は開いていますが……」


 アザゼルさんとミカエルさんは反応しない愚衛門さんに首を傾げていました。


 すると愚衛門さんはすっと立ち上がると眼前に鋭い視線を向けました。何か来るのでしょうか?


 そう思っていると目の前からまるでヘラクレスオオカブトの甲殻を纏ったようなドラゴンが現れました。


「あれは『ヘラクレスドラゴン』……人間界に迷い込んできたみたいじゃな」
「こ、この威圧感……ここに来るまでに見てきた猛獣とは違う!あの時の怪物たちみたいな威圧感だ!」


 一龍さんは現れた猛獣の事を教えてくれました。そしてサーゼクス様は前の会談の時に襲ってきた阿修羅タイガー達のような威圧感を感じると言います。


 改めてグルメ界の猛獣を見て見ましたが恐ろしい雰囲気を出していますね。今の私達ではまともなダメージすら与えられなさそうです。


「く、来るぞ!」
「サーゼクス様、御下がりください!」


 アザゼルさんは戦闘態勢に入りグレイフィア様はサーゼクス様の盾となるべく前に出ました。


 ですが猛獣が私達を襲う事はありませんでした。何故なら一瞬の内に行動していた愚衛門さんによって一刀両断されていたからです。


「い、いつの間に……」
「攻撃の初動すら見えなかった……素晴らしい斬撃だ」


 バラキエルさんはいつの間にか行動していた愚衛門さんに驚いており、ヴァスコさんは初動すら見えなかったと話します。


 攻撃をする際に必ず何らかのアクションがあるのですがそれすら感じませんでした。気が付いたら斬られていた……これが愚衛門さんの実力……!?


「……ん?お―――!?ビックリした!?お前ら誰だ!?いつの間に居やがった!?」
「えっ?」


 私達を見た愚衛門さんはまったく気が付いていなかったように反応して大きな声を上げました。私はそれを聞いて一瞬訳が分からなくなってしまいました。


 だっててっきり猛獣が近づいていたから集中していたので声をかけても反応しなかったのかと思ったのですが、この様子だと素で気が付いていなかったみたいです。


「相変わらずボーッとした奴じゃのう」
「あれ?会長?今日って何か集まりでもありましたっけ?」
「お前さん所に客を連れて行くと連絡したじゃろうが」
「そうでしたっけ?なんか反射的に電話に出てた気がしますわ、ガハハ!」


 一龍さんとそんな会話をする愚衛門さんにさっきまでの凄味は感じませんでした。


―――――――――

――――――

―――


「なるほど、お前がイッセーか。一龍会長から話は聞いとるよ」
「ど、どうも……」


 その後一龍さんが事情を話して私達は自己紹介をしました。


「しかし会長も物好きだな、態々こんな危険地帯にまで来てグルメ界の猛獣を客人に見せたいなんて」
「必要なことじゃからな」
「まあ好きにしたらいいさ、なにせここは一日数百匹の猛獣が来ることもあるからな。見学にはちょうどいいだろう!」
「えっ?そんなに来るの!?」
「……」
「ちょっと!?」


 イリナさんがグルメ界の猛獣が数百匹は来ると聞いて驚き質問しましたが、愚衛門さんはボーっとしてしまいました。


 どうもあまりにも人と接する時間が無くて常にボーっとしてるみたいですね。そんな状態でどうやってあんな素早い攻撃を放ったのでしょうか?


「愚衛門は何も考えておらん、常に『直感』で動いとる」
「直感って……要するに感で動いてるって事か?」
「そうだ、俺は考えない。敵と対峙した瞬間に最善主が頭に浮かび動いている、直感でな」


 一龍さんの説明に私達は驚きました。だって何も考えていないで感だけで動く事なんてしたことが無いからです。


 後愚衛門さん、急に会話に入ってこないでください。ビックリするじゃないですか。


「でも実際感だけで動けるものなの?」
「こればっかりは経験を積まないとできないな。俺は会長と出会う前から常に猛獣と戦う日々を送ってきた、そんな毎日を過ごしている内にいつしかなにも考えなくとも直感で動けるようになったんだ。さっきの猛獣も今日初めて出会ったぞ」
「その割には手慣れた様子にも見えましたが……これが直感ですか」
「プロは考えないで感じるものだ」


 リアス部長は感だけで動けるものなのかと言うと、愚衛門さんは何度も戦ってるうちに経験が付いていつの間にかできるようになったと言います。

 
 祐斗先輩の言う通りあまりにも慣れてるように対処したように見えましたが、実際は所見だったそうです。つまり莫大な経験を得て直感が使えるようになるんですね。


「折角じゃから実際に戦ってみたらどうじゃ?ワシもいるし死にはせんじゃろう」
「そうだな、コレも経験だ」


 そして私達は実際にグルメ界の猛獣と戦ってみました。ですがやはり攻撃は通用せずにイッセー先輩ですら仕留めきることはできませんでした。


 唯一私達の中で討伐できたのはサーゼクス様です。やはり滅びの魔力は恐ろしいですね、仕留めきるこちは出来ませんでしたが、デュランダルを借りたヴァスコさんもあと一歩まで猛獣を追い込みました。


「なるほど、滅びの魔力は効くみたいだね。それでも一匹にあれだけ苦戦していたら囲まれてしまう。この世界では常に本気で戦わないといけなくなるな」
「ふむ、私も腕が落ちたな。後輩に託したデュランダルでなければ一刀できないとは……」
「追い込んだだけでも凄いことですよ、私も精進しないと……」


 サーゼクス様は勝てましたが一匹だけだったと言うのも大きいです。もし群れで来られていたら危なかったと話します。


 ヴァスコさんはゼノヴィアさんに託したデュランダルを貸してもらった事に不服そうに言いましたが、ゼノヴィアさんの言う通りグルメ細胞も持っていない人がグルメ界の猛獣に勝ちそうになりかけたことは凄いことですよ。


 ヴァスコさんは愚衛門さんほど洗練されていたわけじゃないけど似たような動きをしていました。あれも経験からなせる動きなのでしょう。


 もしここにとどまって毎日戦い続けたらヴァスコさんなら直感で動けるようになるかもしれません。


「経験の差だな……俺じゃあんな動きは出来ない。ヴァスコさんと比べれば俺はガキも良い所だから仕方ねえのかもしれねえけど自信を無くすな……」


 グルメ細胞を持っているイッセー先輩でも仕留めきれなかったグルメ界の猛獣をヴァスコさんは長年エクソシストとして戦ってきた経験を生かして追い込みました。


 多分最終的にはイッセー先輩の方が強くなるのでしょうが、この時点では経験ではヴァスコさんには勝てないでしょうね。


「はは、赤龍帝殿。そう落ち込むことはないだろう」
「どうしてですか?」
「私も長年エクソシストとして戦ってきたが、その年で赤龍帝殿は当時の私よりも戦いの経験を積んでおられている。後は自分を信じて戦っていけばいいと私は思うぞ」
「ヴァスコさん……ありがとうございます」


 人生の先輩としてヴァスコさんにアドバイスを貰ったイッセー先輩は笑顔で彼にお礼を言いました。


「ふふ、D×Dの方にも良き戦士がいるのじゃな」


 一龍さんはそんな二人を見て笑みを浮かべました。


「キシャァァァァッ!」


 するとグルメ界の方から空を飛ぶサメが大群でやってきました。


「わわっ!?また来たぞ!」
「空飛ぶサメだァ!?」
「ん?あいつは初めて見るな……今日はフカヒレが食べられそうだ」


 空を飛ぶサメの大群を見てゼノヴィアさんとイリナさんは驚きました。でも愚衛門さんは冷静にフカヒレが食べられると喜んでいました。


「本当に次々と来るな……よし、今度はあいつと戦ってやるぞ!」
「程々にな」


 イッセー先輩がやる気を見せますが、今日はサーゼクス様達にグルメ界を見せるのが目的なので一龍さんは程々にと言いました。


 因みに空を飛ぶサメ……フライシャークは持ち帰りませんでした。グルメ界の食材は自分達の力で捕獲して食べたいですからね。


 そう言ったイッセー先輩と、見ていたゼノヴィアさんとイリナさんは涎を垂らしていましたが……


 まあ気持ちは分かります。祐斗先輩と朱乃先輩もグルメ細胞が食えと言ってくるのか涎を出すのを耐えていましたしね。私も同じでした。


 その後フライシャークとの戦いを終えた私達は、愚衛門さんと別れて次に命の滝壺と呼ばれる場所に行き広大なグルメ界の環境を最新型の双眼鏡で見渡しました。


 というのもグルメ界は異常気象と特殊な磁場のせいで人工衛星から画像を送ることは出来ず、直接目で見るしか環境を見れないらしいんです。だから大きな海抜の差があり広大なグルメ界の風景が人間界から見える命の滝壺に来たという訳ですね。


 実際にグルメ界の環境を見て見ましたが、これがもう凄いと言うか理不尽と言うか……


 例えば雷が槍のように降ったと思えば、陸地が波のように液状化して猛獣を飲み込みました。その後にいきなり地面が燃え上がったかと思えば毒の竜巻が発生したりと凄い勢いで環境が変わっていく光景にサーゼクス様達は勿論として私達も驚きました。


 いずれはあそこに飛び込まなければならない……恐怖を感じましたが、それ以上に未知なる美味があの世界に広がっていると思い涎が出てしまいました。


 私達の中に臆する人はいません。今は無理ですかいつか必ずグルメ界に入ってやるんです!


 後チョコレートやグミが雨のように降ったり見てるだけで美味しそうなジューシィなお肉が生えてきた山など嬉しい環境もあったのでいつか味わってみたいです。


 イッセー先輩やゼノヴィアさん、イリナさんはそれを見て思わずそっちに向かおうとして一龍さんに怒られちゃってましたが……正直私も危なかったです。


 それから私達は今回のツアーの締めくくりとしてIGO本部に来ています。御膳の形をしたユニークな本部に来た私達は会議室に案内されました。


「さて大勢力の諸君、どうじゃったかな?グルメ界を見てきた感想は?」
「いやはや想像以上だったぜ。異常気象にとんでもない化け物……後この世界の食材に対する値段がトラウマになったぞ……」
「まあお主は数千万するお酒を飲み水のように飲んでおったからな」
「言うなって……くそっ!値段を知ってたらあんなふざけた飲み方しないでもっと味わったってのに……!」


 数千万するお酒をラッパ飲みしていたアザゼルさんは後悔した様子でそう言いました。まあ結構こぼしてましたし勿体ないな……とは思いましたが。


「それで一龍殿、貴方が我々に接触してきた理由は何なのですか?」
「うむ、ワシがお主らにグルメ界を見せたのはその脅威を知ってもらう為じゃ。何故なら今後お主らはそれらに嫌でもかかわっていかねばならん事になる」


 ミカエルさんの言葉に一龍さんは真剣な顔になってこう返しました。


 そして一龍さんはD×Dの世界にグルメ細胞や猛獣をバラまいている謎の人物について彼らに話しました。


「つまりこのG×Gの世界にあるグルメ細胞や猛獣が僕達の世界に送られていると言う事ですか?」
「間違いなくそうじゃ。実際にお主らが敵対していた禍の団にはそ奴の手が入っておった」
「そいつがあのバケモンたちをカトレアたちに渡していたって訳か。こりゃ厄介だな」


 ミカエルさんがそう言うと一龍さんは頷きました。アザゼルさんはグルメ界の猛獣を禍の団に流した人物を強く警戒します。


「しかし既に禍の団にグルメ細胞やあの化け物たちが渡されているのなら、もう僕達の世界にばら撒かれているのではないでしょうか?」
「確かにその可能性はある、だがグルメ細胞だけならなんとかできるよ。というのもグルメ細胞にも弱点はあってエネルギーをとても消費してしまうんじゃ。最後にはグルメ細胞に負けて死んでしまうんじゃ」


 サーゼクス様はもう既に私達の世界にグルメ細胞がばら撒かれているのではないかというと、一龍さんはグルメ細胞の欠点を話します。


「エネルギーなんて飯を食えばいいんじゃねえのか?」
「D×Dの世界の食材では栄養が足らなすぎる。同じようにグルメ界の猛獣もD×Dの食材では生きていけるほどの栄養は得られないんじゃよ」
「なるほど……最悪時間さえかければ勝手に死んでいくって事か。でもG×Gの食材をD×Dで育てたら意味ないだろう?」
「それについても問題は無い。D×Dの土地では栄養が足らずにG×Gの食材が育たんからな」


 アザゼルさんの質問に一龍さんは丁寧に答えていきました。アーモンドキャベツやストライプサーモンといった捕獲しやすい食材もD×Dでは育たないみたいですね。


 つまり現状でD×Dの人間がグルメ細胞を得てもこっちに来て食材を食べるか、そのグルメ細胞をばら撒いている奴から食材を貰うしかエネルギーを補給する方法はないって事ですね。


「もしかしたらワシらも知らん方法でG×Gの食材を増やす方法があるのかもしれんが、現状ではそんなことは分からん。今一番すべきなのはグルメ細胞をばら撒いている奴を捕まえる事じゃ。しかしワシらだけでは人手に限界がある、だからお主らにも協力してほしいんじゃよ」
「まあ確かにそいつを捕まえれば一番手っ取り早いってのは分かるが……そっちの要求は何だ?まさかタダで助けようなんて思ってないだろうな?」


 アザゼルさんは鋭い視線で一龍さんを射抜きました。


「当然貰えるもんは貰うぞ、ワシらからは魔法の技術を提供してもらいたい」
「魔法?」
「うむ、そうじゃ。お主らにも話したがこの世界は全ての人間に食が行き渡っておるわけではない、今も貧困や土壌の汚染で何も食べられない人間が大勢おる。しかし今の技術では限界がある」
「なるほど、確かに魔法なら違うやり方で食材を増やせるかもしれないからな。アンタらも助かるし俺達もグルメ細胞に対しての戦力が出来る。お互いに助かるって訳か」
「そう言う事じゃ」


 アザゼルさんは納得した様子を見せました。まあ一龍さんが魔法を要求したのは食材を増やせる方法を得たいっていうのもあるのでしょうが、一番の目的は向こうにこちらの目的を教えて安心感を感じさせたいからだと思います。


 だってなんの目的もない人が『貴方たちを助けます、お礼はいりません』なんて言って来ても裏があるって思うじゃないですか。なら『助けてあげるから貴方たちも見返りをくれ』って言った方がまだ信用できると思います。


 少なくとも私は知り合った人ならともかく、全く知らない初対面の人にこう言われても信用はしません。


「……俺は決めたぜ、一龍さん。堕天使陣営はあんたらに協力する」
「本気ですか、アザゼル。彼らがまだ完全に味方だとは分かっていないのですよ?」
「ならよミカエル、逆に聞くがお前はあの化け物どもに対抗できるっていうのか?今回だって相当危なかったじゃねえか。仮にサーゼクスが本気を出して何とか出来たとしても複数の個所を狙われたらどうしようもねえだろう?俺とお前はサーゼクス程強くないしな」
「それは……」
「こいつらが怪しいのは百も承知だ。だが俺達だけではどうしようもないのも事実……ならいっそ生き残れる道を選んだ方が賢いだろう?」
「……それはそうですが……」


 アザゼルさんは生き残るためにIGOと組むと決めたようですが、ミカエルさんは未だ警戒心を解けないでいるようですね。


 組織のトップである以上簡単に見知らぬ相手を信用できないのは分かりますが……どうするのでしょうか?


「ミカエル、ここは悪魔のやり方で彼らを判断してみてはどうかな?」
「サーゼクス、何を言っているのですか?悪魔のやり方とは?」
「それは『強さ』だよ。僕達は彼らの実力をほんのちょっとだけしか見ていない、だから彼らの全力を見て信用できるかどうかを見極めると良い」


 サーゼクス様はミカエルさんに強さを見て決めると良いと言うと立ち上がりました。


「一龍殿、僕と戦って頂けませんか?仮に僕が勝っても悪魔が貴方方に協力するのは約束します……ただ出してみたいんですよ、僕自身の本気を……!」


 サーゼクス様は普段の優しい笑みを消して非常に好戦的な笑みを浮かべました。これにはグレイフィア様も驚いています。


「……お主、穏やかな性格かと思っとったが意外と好戦好きなのか?」
「普段は違いますよ。でもこれまで生きてきた中でようやく本気を出せそうな相手と環境が現れたんですよ?試してみたいと思うのはおかしいことですか?」
「いいじゃろう、やろうか」


 一龍さんも笑みを浮かべると立ち上がりました。グレイフィア様は止めようとしましたがサーゼクス様にしては珍しく譲りませんでした。


 一龍さんとサーゼクス様以外の人たちが困惑する中、二人の模擬戦がされることが決定しました。



――――――――――

――――――

―――


 現在私達は飛行船に乗って空の上に来ています。というのもサーゼクス様が本気を出したら本人の意思に関係なく周囲を滅ぼしてしまうかららしいです。


 そして一龍さんは相も変わらず羽根もないのに空中に浮かんでいます。


「イッセー先輩はどっちが勝つと思いますか?」
「まあ親父だろうけどサーゼクスさんの本気も気になるな。超越者と言われる彼の実力……どこまで親父に通用するのか見せてもらうぜ」


 いずれ一龍さんに勝ちたいと思っているイッセー先輩はこの試合を真剣に見ています。他の方々も無言になって二人を見続けていました。


「今回はお主からの挑戦じゃ。先に攻撃して構わんよ」
「……では本気で行かせてもらいます」


 サーゼクス様はそう言うと自身の体に滅びの魔力を纏わせていきました。するとまるでブラックホールのような漆黒の姿になってしまいました。


「あれがサーゼクスの本気か……!」
「もはや滅びの魔力そのもの……言葉では聞いていましたが実際に見ると恐ろしい物です……!」


 アザゼルさんとミカエルさんの言葉通り今のサーゼクス様は阿修羅タイガーやキングレントラーより恐ろしく見えます。


「……いきます」


 サーゼクス様はそう言うと一瞬で一龍さんに近づいてパンチを放ちました。一龍さんはそれを軽く避けます。


「親父が避けた!?」
「私の時は普通に利かなかったけど流石にお兄様のは一龍さんでも受けられないのかもしれないわね」


 イッセー先輩は一龍さんが攻撃を回避したことに驚きました。その後も全ての攻撃をよけ続けています。リアス部長も自分の時は効果が無かったけど魔王様なら避けないと危ないと思ったんじゃないかと話します。


 その後もサーゼクス様は一龍さんにパンチやキックのラッシュを放ちますが一龍さんは水のように回避していきます。


「触れただけでアウトか……グルメ界の猛者たちを思い出すわい」


 一龍さんはそう言って大きく離れると大量の箸を生み出してサーゼクス様を捕獲しようとします。


「移り箸」


 それに対してサーゼクス様は丸い球体のような形に変化して箸を消してしまいました。


「おおっ、あの恐ろしい怪物すら封じ込めてしまった技を……」
「流石です、サーゼクス様……」


 移り箸を消した事にヴァスコさんとグレイフィア様が驚いていました。グレイフィア様は若干惚けていますが……


「『滅殺の魔弾(ルイン・ザ・エクスティンクト)』!!」


 サーゼクス様は小さな球体にした滅びの魔力を複数生み出して一龍さんに放ちました。


「乱れ箸」


 一龍さんは箸を高速で何本も放ちましたがそれら全てをかき消して球体は進んでいきます。


 滅びの魔力で出来た球体を一龍さんは回避しますが、何度も追いかけて一龍さんを追い詰めていきます。


「おいおい、サーゼクスの奴勝てるんじゃないか!?」


 アザゼルさんは一方的に押しているサーゼクス様を見て勝てるのではないかと言います。でも私達はそうはならないだろうと思いました。


 確かにサーゼクス様は強いです、オカルト研究部全員で挑んでも勝てないでしょう。ですが一龍さんはそれ以上の強者だって分かっていますから。


 そして戦況が変化しました。一龍さんを追いかけていた滅びの魔力が檻のように変化して一龍さんを閉じ込めました。


「ほう、ここまで自在に操るとは……」


 そして動けなくなった一龍さんにサーゼクス様はリアス部長が放つ『紅き滅殺の魔閃光(クリムゾン・ルイン・フラッシュ)』に似た技を複数放ちました。しかも逃げられないようにオールレンジ攻撃のように操っています。


 そしてすべての攻撃が一龍さんに直撃しました。


「なっ!?流石に殺したら拙いだろう……!」


 アザゼルさんはそう言いますが攻撃が終わった後に更に驚きました。


「い、生きてる!?五体満足だって!?」
「あり得ません、確実に滅びの魔力にやられたはずなのに……」


 まったく通用していなかったことにアザゼルさんとミカエルさんは驚きます。


 私達もどうやって滅びの魔力を防いだのかが気になりました。だって箸の攻撃では滅びの魔力を打ち消せなかったのにどうやってかわしたのでしょうか?


「会長は防いだんじゃない。意味の無い攻撃にしたんだ」
「どういう事だよ、茂さん」
「お前達は『平方根の法則』を知っているか?」
「確か平均から離れて例外的な動きをする粒子のひん……」
「待ってイッセー、流石に私もちょっと分からないわ。もうちょっとかみ砕いて説明してくれない?」
「ああ、そうですね。ゼノヴィアとイリナがショートしていますしね」


 茂松さんが言った平方根の法則をイッセー先輩が説明しようとしましたが、流石に部長も分からないらしいのでかみ砕いた説明をお願いしました。


 私達も分かりませんしゼノヴィアさんとイリナさんは口から煙出してるように見えるくらい理解不能って顔をしています。


「例えば100個の粒子があるとしてそのうちの10個は例外的な動きをするという統計学的な規則がある。例を言うと100個の原子で出来た生物を空から落とすと90個は重力に従って落下するが10個だけ浮こうとしたり留まったりするんだ」
「……」
「……」
「ゼノヴィアとイリナに分かるように言うと、俺達の体を仮に100の玉で作ってるとしたら90は生きようとするけど10だけ死のうとしたりするんだよ」
「要は自殺しようとするって事だな!」
「分かりやすいわね!」
「……まあそんな感じだ」


 イッセー先輩の説明をまとめると普通は空を飛べずに落ちようとする粒子が殆どだけど少数だけそれ以外の行動をしようとする粒子があるって事ですね。


「会長はそんな少数派の粒子をコントロールして徒党を組ませていく。そして少数派が多数になれば生物に影響を表す」
「そうか、一龍さんが宙に浮かんでいるのは浮かぼうとする少数派の徒党を増やして影響を作りそれで飛んでいるんだね」
「その通りだ。この世界に数多くの空を飛ぶ生物はいるが少数派の原子を使って飛ぶのは会長だけだろう」


 茂さんの説明に祐斗先輩は一龍さんが飛んでいる現象の正体を言い当てました。まさかそんな訳の分からない方法で空を飛ぶなんて……


「滅びの魔力の少数派をコントロールして徒党を組み、はぐれ者……つまり滅ばないという粒子を増やして影響を生みただの攻撃にした。それなら会長には通じないからな」
「でも前リアスが使った滅びの魔力は簡単に防いでいましたけど……」
「リアス・グレモリーは実力が低かったため簡単に影響を出せたが、強者であるサーゼクス・ルシファーは多少時間がかかったようだ」
「なるほど、通りで私の時と違って直ぐに対応できなかったわけね。自分で言っていて悲しくなるけど……」


 茂松さんはサーゼクス様の滅びの魔力を滅びないと言う少数派に変えたから利かなかったと言いました。


 それを聞いた朱乃先輩はリアス部長の時は直に対応していたと言いますが、茂松さんは部長が弱かったから数に対応できたとバッサリ言いました。


 部長は苦笑いをしながらそれを受け入れていました。


 まああの時は私たち全員同じようなものでしたしあまり気にしないでください、部長。


「あれぞ一龍会長の究極の秘儀『マイノリティワールド』だ。あの空間の中で会長に勝てる生物を俺は知らない」
「マイノリティワールド……」


 私達は一龍さんの新たな力に戦慄しました。だってその気になればなんでもできてしまうんじゃないのでしょうか?まさに無敵です……


「驚きました。まさかそんな方法で滅びの魔力を封じ込めるなんて……」
「さあどうする?頼みの綱である滅びの魔力はもう通用せんぞ?」
「なら攻め方を変えるだけです!」


 サーゼクス様は赤い魔力の剣を生み出すと一龍さんに向かっていきました。一龍さんも箸を握って向かっていきます。


 そして剣と箸がぶつかって激しい衝撃が生まれました。二人は辺りを飛び回りながら何度も激突していきます。


「は、早い!?目で追うのがやっとだ!」
「サーゼクスの本気も初めて見ましたが、一龍さんも簡単についていっていますね。もはや人間ではない……!」


 アザゼルさんとミカエルさんは二人の戦いを見てレベルが違い過ぎると感じたようですね。実際に私達も目で追うのが精一杯です。


「箸砲!」


 一龍さんは握っていた箸を勢い良く投げました。周りの雲がかき消される程の衝撃が走ります。


「はああっ!!」


 それに対抗して魔力の槍を生み出したサーゼクス様は箸砲目掛けて投げつけました。箸砲と魔力の槍がぶつかってすさまじい衝撃波が生まれました。


「ぐっ、凄い衝撃だ……!」
「ふ、吹き飛ばされてしまいますぅ~……!」


 祐斗先輩は吹き飛ばされないように踏ん張っていますが、ギャー君は吹っ飛ばされてしまいました。直ぐにイッセー先輩が捕まえて事なきを得ましたけど。


「ははは……!こんなにも楽しいのは初めてだ!」
「どうした、もう終わりか?」
「いえ、まだまだこれからですよ!」


 サーゼクス様にしては珍しく興奮しているみたいでまるで子供のようにはしゃいでるようにも見えました。


「サーゼクス様、あんなにも楽しそうに……」
「思えばあいつがあんな風に全力で戦えたことってないかもしれないな。あんだけ強大な力を持っていても存分に使ったことが無かったから内心不満だったのかもしれないな」
「でも今はそれが出来る相手が現れた……だからあんなにも嬉しそうなのですか」
「ああ、強者にしか分からない悩みだろうな」


 グレイフィア様はサーゼクス様の楽しそうな様子を見て目を丸くしていました。


 アザゼルさんはサーゼクス様が本気を出して戦った事は今までなかったと言い、今まさに本気を出しても受け止めてくれる相手がいるとミカエルさんが言います。


「刺し箸」
「ぐふっ……!うおおっ!」


 鋭い一撃をサーゼクス様の腹部に放つ一龍さん、すでに滅びの魔力の影響を受けなくなっていたその一撃は滅びの魔力そのものになったサーゼクス様に大きなダメージを与えました。


「せせり箸」
「があっ……!!」


 ですが怯まずに反撃しようとしたサーゼクス様の攻撃を回避した一龍さんは、目にも止まらない連続攻撃をサーゼクス様の全身に浴びせました。


「滅殺の魔弾!!」

 
 サーゼクス様はまるでガトリング団のような速度で滅びの魔力を打ち込んでいきます。一発当たるだけで消滅する滅びの魔力をあんな速度で連射されるなんて普通なら絶望ですね。でも……


「奥義『一本箸』」


 今までの中で一番大きく強大な力を放つ箸を生み出した一龍さんは、ソレをサーゼクス様に目掛けて放ちます。さっきまでとは違い滅びの魔力を打ち消して進む箸はサーゼクス様を吹き飛ばしてしまいました。


「はぁ……はぁ……ここまでか」


 体力が切れてしまったのか全身の滅びの魔力を消していつもの姿に戻ったサーゼクス様は、スゥーっと移動してきた一龍さんに向かって手を差し伸べました。


「完敗です。貴方は強い。僕の想像していた以上に……」
「満足したか?」
「はい。こんなに晴れやかな気分になれたのはグレイフィアと初めて会った時以来です」
「さりげなく惚けたな、お主」
「あはは……でも本当に良い気分です。もしよければまた手合わせをお願いしてもいいでしょうか?」
「いつでもかかってくるといい、美味い酒でも用意して待ってるよ」
「……はい!」


 二人が握手をするのを見て私達も笑みを浮かべました。これで悪魔と堕天使は味方に付きましたね。


「まさか本気を出したサーゼクスが負けるなんてな……どんだけ強いんだ、あのじいさんは」
「ばっはっは!会長は本気を出しとらんよ。もし会長がその気になれば生きようとする原子の少数派……即ち死のうとするはぐれ者を統一させて身体の機能を停止させることも出来た。そうすれば呼吸は出来なくなり血流も止まり脳も死に向かっていく……戦う必要すらなかったのさ」


 アザゼルさんは本気を出したサーゼクス様に勝ったことを驚いていましたが、マンサム所長の話だとそもそも戦わなくても勝てたそうです。


 やっぱりおかしいですよ、マイノリティワールド。勝てないじゃないですか。


「なっ!?……ならばなぜ彼はサーゼクスと打ちあっていたのですか?」
「見どころのある若者だったから稽古してやったんだろうな、会長はそう言う人だ」
「……言葉も出ないな」


 ミカエルさんは即死技があるのに何で態々律義にサーゼクス様と戦ったのかと言うと、茂松さんが稽古をしてあげたと答えるとアザゼルさんは顔を抑えてそう言いました。


「それでミカエル、お前ら天使はどうすんだ?」
「……彼らを敵に回す方が愚かしいでしょう。完全に信用したわけではありませんが天使も力を貸す事を約束します」
「それが良いさ。仮に何か企んでいたとしても俺達じゃどうしようも出来ねえ、なら長い物に巻かれろってな」


 ミカエルさんもIGOに協力することを決めたようでこれで悪魔・天使・堕天使が味方に付きました。


「さて、戦って腹も空いたろう。飯でも食べに行くか」



―――――――――

――――――

―――


「それではD×G連合結成の記念にカンパーイ!」
『乾杯!』


 アザゼルさんの号令に私達も答えてジョッキを合わせました。まあ私達のはジュースですけどね。


 あの後私達は節乃さんのお店に移動してそこで宴会を開いています。私も皆さんに料理を提供している所です。


「オラオラ、バラキエル!お前もっと飲めよ!」
「いや私は遠慮……ガボッ!?」
「なんじゃだらしない、男ならこんくらい飲まんか……ぶひゃ!?この酒度数強ッ!?」
「ばっはっは!良い飲みっぷりだな!」
「はは、今日はなんだか飲みたい気分なんですよ」
「うい~……まだまだ飲み足りんぞぉ……せっちゃん、『エメラルドドラゴン』のワイン追加で」
「はい、どうじょ。ついでにツマミに『蟹ブタのソーセージ』と『ストライプサーモンのカルパッチョ』もあるよ」
「うい~、いいツマミじゃなぁ」


 酔ったアザゼルさんにバラキエルさんが絡まれています。一龍さんも勢いよく飲みましたがむせていました。


 サーゼクス様はマンサム所長と飲んでいますし次郎さんは相変わらずの酒豪です。


「でも黒歌さんが無事で良かったわ」
「あはは、あの時は迷惑かけたにゃん」
「迷惑だなんて思っていないわ、小猫さんにはお嬢様がいつも助けてもらっているんですもの。あの時サーゼクス様が取った行動は間違っていなかったと私は思ってるわ」
「そっか、それなら少しだけ気持ちが楽になったよ。白音も良い人たちに巡り合えてよかったにゃん」
「それは貴方もでしょう?」
「えへへ、そうだね」


 そしてカウンターではグレイフィア様が姉さまと会話を楽しんでいます。


 最初にこの店に連れてきたとき姉さまを見てサーゼクス様とグレイフィア様は大層驚きましたが、事の経緯を知ると無事だったことを喜んでくれました。


 因みに姉さまの手配をどうにかできないかとさりげなくサーゼクス様に聞いてみたのですが、姉さまを狙っている男は悪魔上層部のメンバーの息子らしく魔王様でもいう事を聞かせられないらしいです。


 落胆した私ですが姉さまはこっちの方が安全だし無理に手配を解除してもらわなくても良いといいました。


 まあ確かにこっちなら安全ですが……それでも姉さまと一緒に母様と父様のお墓参りに行きたいです。


「美味いな……酒は一人で飲むのが好きだがたまには誰かと飲むのも悪くない」
「貴方のような強者と共に晩酌できて光栄だよ」
「俺もあんたには興味がある。グルメ細胞も得ずに鍛え上げたその肉体……一体どんな死闘を積んできたんだ?」
「そうだな、一番印象に残っている戦いは……」


 隅っこのテーブル席で茂松さんとヴァスコさんが静かにお酒を飲んで語り合っていました。どっちもムキムキだから絵面が濃いです。


「ミカエル様!?羽根が点滅していますが大丈夫ですか!?」
「ぐっ……こんな美味しい物を食べてしまうなんて私は罪深い天使です……!」
「わー!?わー!?堕天してしまいますよー!?」
「か、回復しますぅぅぅっ!!」


 G×Gの食材のあまりの美味しさに堕天しそうになってるミカエル様を見てゼノヴィアさんとイリナさん、そして何故か怪我したわけじゃないのに神器を使うアーシアさんがカオスですね……


「皆楽しそうね、ちょっと煩いけど……」
「うふふ、いいじゃないのリアス。こうやっていがみ合っていた人達が仲良くできるのって素敵でしょ」
「まあね」


 騒がしい大人たちを見て部長が苦笑いを浮かべていましたが、朱乃先輩の言葉には笑顔で頷きました。


「あはは、いつかみんなで仲良く食事をしたいね。天使も悪魔も堕天使も人間も……異種族皆が仲良く食事を出来たらきっと楽しいよね」
「はい、僕もそう思いますぅ!プライドの高い吸血鬼だって美味しい物を食べれば仲良くなれるはずですぅ!」


 祐斗先輩はいつか皆で食事が出来たらきっと楽しいと語り、ギャー君もお肉を一杯食べながら同意しました。


「ああ、GODがあればそれも叶うはずだ。だからこそ俺達は強くなっていつか現れるGODを捕獲しなくちゃならねえ。その為にやることは多いがいつか必ずやり遂げて見せるさ」
「私もGODを調理できるくらいの腕を身に付けて見せます!」
「期待してるぜ、小猫ちゃん!」
「はい!」


 イッセー先輩の言葉に私は笑みを浮かべて力強く答えました。


 イッセー先輩やみんなと一緒にこれからも頑張っていきます。そしていつか必ずGODをD×DとG×Gの皆と一緒に食べたいです、いえ食べて見せます!


  
 

 
後書き
 リアスよ。無事に悪魔・天使・堕天使と協力できることになってよかったわね。夏休みになったからGODの捕獲を目指して修行を頑張らないとね……


 あら?実家から手紙が来ているわね……えッ!?一度帰ってこいですって!?うーん、面倒だけど無視はできないわよねぇ……


 でもどうしてイッセーまで連れて来いって書いてるのかしら?なんだか嫌な予感がするわね……


 次回第95話『実家に帰ろう!リアスの覚悟と新たな力!』で会いましょうね。


 次回も美味しくいただきます……うふっ♡ 
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