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イベリス

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第六十六話 感染症の怖さその一

               第六十六話  感染症の怖さ
 咲はテストが終わった次の休日アルバイトがなかったので愛に声をかけた、すると愛は一緒にプールに行こうと言ったのでそれに乗った。
 それで一緒に都内でも有名な屋内プール場に行くことになったが。
 山手線の中で母に飲みながら話したことを話すと愛は当然という顔で彼女に答えた。
「叔母さんいいこと言うわね」
「感染症は注意しないと駄目なの」
「狂犬病もマラリアもね」
「そうなのね」
「本当に怖いからね」
 咲に真顔で話した、席に並んで座っているが咲はデニムの半ズボンに白のティーシャツにシューズという格好で頭にはサンバイザーがある。愛はピンクのかなり丈の短いワンピースにサンダルでやはりアクセサリーが多い。
「狂犬病って確実に死ぬから」
「お姉ちゃんもそう言うわね」
「事実だからね」
「それでそう言うのね」
「だからモコちゃんの予防接種は絶対でね」
 咲の母の言う通りにというのだ。
「海外旅行に行く時はね」
「要注意ね」
「マラリアもね」
「蚊もなのね」
「蚊を舐めたらいけないのよ」
 愛は真顔で答えた。
「だから今の季節はね」
「夏は」
「特に蚊が多いからね」
「刺されない様に注意ね」
「ひいお祖父ちゃんマラリアに罹ったじゃない」
 二人の共通の曽祖父である。
「戦争に行ってね」
「そういえばいつも言ってるわね、ひいお祖父ちゃん」
「百歳近くになってもね」
 まだ健在で、であるのだ。
「戦争のことよく行ってよ」
「ひいお祖父ちゃん台湾の航空隊にいてね」
「そこでマラリアになったのよ」
「台湾もマラリアあってね」
「あそこは感染症と毒蛇の巣だから」
「毒蛇も多いのよね」
「そうよ、ヒャッポダもいるし」 
 台湾を代表する毒蛇である、噛まれると百歩歩くうちに死ぬまでの猛毒を持つと言われることからこの名前が付いた。
「他にも色々とね」
「毒蛇多いのね」
「数も種類もね、それで感染症もね」
 これもというのだ。
「多くてね」
「ひいお祖父ちゃんもマラリアになって」
「死線を彷徨って何度もよ」 
 愛はさらに話した。
「ぶり返してきたのよ」
「それでいつも言ってるわね」
「アレクサンドロス大王も死んでるし」
 英雄も一匹の蚊によって命を落としたのだ。
「平清盛さんもよ」
「何か凄い熱病になって死んだのよね」
「それはマラリアだったのよ」
「それで物凄い熱が出たのね」
「冬でも暑がってね」
 平家物語にはそう書かれている。
「お水に入れたらあっという間に熱湯になって」
「卵入れたら茹で卵になったのよね」
「それは物語だけれど」
 その為大袈裟に書いているのだ。
「実際にあの人もね」
「熱病で死んでるのね」
「若しあの人が死ななかったら」 
 そうであったならというのだ。 
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