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レーヴァティン

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第二百五十九話 ヴェネツィアに向かう中でその十

「しかしな」
「それでもでござるな」
「イスラムだけの世界ではない」
「この世界は」
「イスラム教のみの世界ならだ」
「神即ちアッラーは絶対でござる」
「だから俺達なぞだ」 
 正は考える目で話した。
「まさに矮小でな」
「神から見れば取るに足らない存在であり」
「どうにもならない」
「そうでござるな」
「だがこの世界はイスラム教だけの世界ではなく」
 正はあらためてこのことを指摘した。
「そしてだ」
「そうしてでござるな」
「魔神もだ」 
 自分達の敵もというのだ。
「アッラーではない」
「絶対ではないでござるな」
「そうだ、そもそもアッラーはこうしたことはしない」
「世界を石に変えて海に沈める様なことは」
「アッラーは絶対だが寛容だ」
 これもまたイスラム教の特徴である。
「旧約聖書では俺達から見れば些細は過ちで恐ろしい神罰が下る」
「しかしコーランではどうか」
「ほぼない」
 その神罰がだ。
「あの宗教ではな」
「イスラム教の人も言っているでござるな」
「コーランの人物は常に前向きで明るくだ」 
 そうした性格でというのだ。
「そして困難にはな」
「打ち勝つでござる」
「そうだな」
「明るいものでござる」
「それは何故かというとな」
「アッラーが明るい神だからでごわす」
「多少のことでは怒らない」
 この辺りは旧約聖書を知った後では全く別の神ではないかと思う程だ、もっと言えば聖書とコーランでは同じ人物が出ていても人生が全く違う。
「人を見守りだ」
「その活躍を喜んでいるでござるな」
「そうした神だからな」
 アッラーはというのだ。
「この世界で何があったかは知らないが」
「海の魔神の様なことはしないでござる」
「絶対にな」
「そうなのです、海の魔神の行いにはです」 
 良太が話した。
「とうも悪意を感じます」
「ですね」
 源三が良太に応えた。 
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