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イベリス

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第六十五話 静かにはじまってその一

                第六十五話  静かにはじまって
 期末テスト間近になるとだった、咲はバイト先で速水から直接言われた。
「小山さん、中間テストの時もでしたが」
「はい、期末テスト前はですね」
「休んで下さい、テストが終わるまでは」
「そうしていいんですね」
「むしろそうして勉学に励むべきです」
 速水は咲に確かな声で告げた。
「小山さんは学生なのですから」
「学生の本分は勉強ですね」
「そうです、ですから」
 その為にというのだ。
「是非です」
「休んで、ですね」
「勉学に励み」
 そうしてというのだ。
「満足のいく結果を出されて下さい」
「アルバイトを休んで」
「休みたくないと言われましても」
 例え咲がそう言ってもというのだ。
「このお店を預かる者としてです」
「それで、ですか」
「はい、是非です」
「私にですね」
「休む様にします」
「そうなんですね」
「テストが終わってからまた来て下さい」 
 速水は微笑んで述べた。
「是非」
「そうさせてもらいます」
「それで夏休みですが」
 速水はこちらの話もしてきた。
「アルバイトはいつも通りです」
「平日は夕方で」
「休日は朝からです、ですが小山さんがよければ」
 それならというのだ。
「平日でも朝からです」
「入っていいですか」
「そうされて下さい」 
 こう言うのだった。
「アルバイトはお金を手に入れるだけでなく人生の勉強にもなります」
「働くからですね」
「そうです、働くことはです」
 それ自体がというのだ。
「非常にいいことなのです」
「だからですね」
「小山さんがよければです」
「夏休みの間はですね」
「来られて」
 この店にというのだ。
「人生の経験を積まれて下さい」
「それじゃあ」
 咲は速水の話を聞いて言った。
「宜しくお願いします」
「平日からですね」
「部活がない時は」 
 その時はというのだ。
「お願いします。ただ塾もです」
「塾ですか」
「それも行くことになっていまして」
「夏期講習ですね」
「そちらにも行きます」
「ご多忙の様ですね」
「そうなんです、大体午前は講習で」
 その時に行われてというのだ。
「午後は部活で」
「夕方はですね」
「アルバイトに入らせてもらいます」
「そうなりますね」
「ただ部活はあまりないんで」
 だからだというのだ。
「午後からです」
「入られる日もありますか」
「その方が多いですね、文科系の部活だと」
 自分が所属している漫研もそうなので話した。 
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