八条学園騒動記
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第六百六十八話 敵は必ず敗れるその八
「武器を持たんで満足に戦えるか」
「餓えた狼は太った犬より強いとかいうのは」
「餓死寸前の狼でもか」
博士は野上君にこう返した。
「そうであるか」
「死ぬ寸前ですか」
「痩せ細ってな」
「戦う以前ですね」
「餓えというか空腹ならまだよい」
それならというのだ。
「食って生きる為に全力で戦うからな」
「それなら強いですね」
「しかしな」
「餓死寸前だと」
「動けぬからな」
「弱いとかもう」
「それ以前じゃ」
それこそというのだ。
「最早な」
「そういうことですね」
「そうじゃ、スパルタ軍は贅沢を徹底的に避けたが」
「餓えるまではですか」
「それで死ぬまではな」
そこまではというのだ。
「至っておらんかった」
「あくまで戦う為にそうしていただけですね」
「戦うにも体力が必要じゃ」
そもそもというのだ。
「だからな」
「餓えるまでではですか」
「訓練ではあった」
餓える様なそれはというのだ。
「確かにな」
「スパルタだからですね」
「スパルタの訓練はじゃ」
これはというのだ。
「まさにじゃ」
「スパルタ教育ですね」
「それ故にな」
まさにというのだ。
「鬼の様にじゃ」
「過酷だったんですね」
「そうであったからな」
「そんな訓練もしてましたね」
「そうであった、しかしな」
それでもというのだ。
「普段は粗食でもじゃ」
「ちゃんと食べてましたか」
「そうであった」
「そうだったんですね」
「だからな」
博士はさらに話した。
「あそこまで戦えたのじゃ」
「強かったんですね」
「強かったことはじゃ」
「事実ですね」
「それだけ過酷な訓練をしておったからな」
もっと言えば産まれた時見込みがないと思った子はその場で崖に落としていった、獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすというが実際にそうしていたのだ。
「だからな」
「強かったんですね」
「それも桁外れにな」
「まさに戦闘民族だったんですね」
「あの者達より強いのはな」
それはというと。
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