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ハッピークローバー

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第三十三話 夏が近付いてその四

「今言ったけれど連帯保証人の人もね」
「迷惑するわね」
「残った家族も心配するでしょ」
「どうなったか」
「蒸発とかしたらね」
 借金から逃げてというのだ。
「そうなるからね」
「借金は注意ね」
「だから最初からよ」
「お金の使い方には注意ね」
「そうしたことも勉強してね」
 くれぐれもという口調であった。
「いいわね」
「わかったわ」
 留奈もそれはと応えた。
「そうしていくわね」
「あんたにもお兄ちゃんにも幸せになって欲しいし」
 親としてこうも言った。
「その為にもよ」
「お金のことはなのね」
「最初からね」
 それこそというのだ。
「気をつけてね」
「そうしていかないと駄目なのね」
「幸せになるにはまずお金よ」
「凄い生々しいわね」
「お金があるんじゃなくてね」
「お金の使い方ね」
「しっかりしていることよ」
 金のことにというのだ。
「ちゃんと自分で稼いでね」
「使い方をわかっていることね」
「そういうことよ」
「あるかどうか、使い方じゃなくて」
「もう全体よ」
 あるだの使い方だのという狭義の話ではないというのだ。
「それこそね」
「ううん、お金のことずっと考えていたけれど」
「これからは前よりもよ」
「確かに考えていくことね」
「そうしてね」
「本当にお金は大事ね、しかしケチは駄目よね」
 留奈は母にこちらはと尋ねた。
「そうよね」
「自分のことには使って他人には使わない?」
「そうしたことはね」
「ケチといっても色々でね」
 母は娘の言葉に真面目な顔で答えた。
「無駄遣いをしないのはいいことよ」
「そのことはなの」
「ええ、ただ人が困っていたり使うべき時に使わない」
「それは駄目なのね」
「そうよ、お金は使うべき時はね」
「使うものね」
「そこで出さなかったらね」
 そうしたことはというのだ。
「駄目よ」
「そうなのね」
「そう、だからね」 
 それでというのだ。
「無駄遣いとか借金は駄目でも」
「使うべき時はなのね」
「使わないと駄目よ」
「その使い時が大事ってことね」
「普段偉そうに言ってる人が人が困っていても何もしなくて」
「お金も出さないなら」
「どう思うかしら」 
 娘の目を見て問うた。
「そうだったら」
「もう器が見える?」
 娘は考える顔になって答えた。 
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