夢幻水滸伝

「敗れてもや」
「はい、広州の港に入られる様にしていますね」
　白も敵艦隊の配置を見て施に応えた。
「そうしていますね」
「そやな」
「慎重ですね」
「戦は勝ち負けがある」
　施は強い声で述べた。
「そやからな」
「戦に負けることもありますね」
「そや、それでや」　
　その為にというのだ。
「負けた時にどないするか」
「そのことも考えておくことですね」
「戦に勝ったらええが」　
　その場合はというのだ、
「負けたらな」
「その時の備えをしてへんと」
「もう総崩れになる、負けてもな」
　例えそうなろうともというのだ。
「崩れるのは最低限でや」
「そこから立ち直る」
「そうなる為にや」
「あらかじめ負けた場合のこともですね」
「考えてな」　
　そうしてというのだ。
「備えておくことや」
「そういうことですね」
「郭も美蓮ちゃんもわかってるわ」
　このことがというのだ。
「よおな」
「そやからですね」
「郭達も負けてもや」
「湊に戻れる様にして」
「敗れても艦隊が全滅せん様にしてるんや」
「そういうことですね」
「しかしこちらの船団は今は何もしてへんですね」
　上陸せんとしている彼等にはとだ、紅美は敵艦隊を見て話した。
「そうですね」
「そやな、広州の守りを固めてな」
「それで備えとして」
「そしてや」
　そのうえでというのだ。
「艦隊は艦隊でや」
「私達との戦に専念するのですね」
「そういう考えや、そして海戦の後でな」
「広州を守る戦に向かうのですね」
「そういう考えや」
「そうなのですね」
「ほなここで勝ってや」
　施はその目の光を強くさせて言った。
「広州攻略に本格的にかかるか」
「そうしますか」
「空船も持って来てな」　　
　その時はというのだ。
「そのうえでな」
「広州攻略ですか」
「そうする為にもや」
「はい、今はですね」
　王が言ってきた。
「海戦に向かい」
「勝つで、全艦前に出てな」　
　そうしてというのだ。
「砲撃戦の用意や」
「わかりました」
「そして空からもな」
「空を飛べるモンを出してですね」
「攻めるで、自分も行きたいが」　
　施自身もというのだ。
「しかしな」
「それはですね」
「指揮に影響が出るさかいな」
「ご自身が攻撃に参加されますと」
「陣頭にな、特に艦隊戦やと」
「艦橋から艦隊全体を指揮するものですさかい」
「空から戦局全体を見るのはええが」
　それでもというのだ。