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麗しのヴァンパイア

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第四百七十五話

               第四百七十五話  京都に着いて
 京都の呉服問屋に入ると早速店の者がカーミラを出迎えて尋ねてきた。
「今日はどんなものをお探しで」
「実はね」
 カーミラは店の者に流暢な日本語で応えて話した、すると店の者はすぐに反物絹のそれを幾つか持って来て言ってきた。
「こうしたものでええですか」
「任せるわ」
 カーミラは微笑んで答えた。
「全てね」
「そうですか。ではお身体の丈をです」
「測ってなのね」
「作らせてもらいます」
「帯もお願いね」
 こちらもというのだ。
「今話した通りのね」
「色と柄で」
「それでお願いするわ」
「足袋に草履もですね」
「そちらもね」
「ほなそうします」
「全て任せるわ」
 どんな着物がいいか言ったのでというのだ。
「後は餅は餅屋ね」
「そうですか、では」
「ええ、丈も測って」
 微笑んで言ってだった。
 カーミラは丈を測ってもらってだった。
 着物を造ってもらった、だが完成はというと。
「わかったわ、ではね」
「完成まで申し訳ないですが」
「それだけ時間がかかるということね」
「そうです」
「他の服とは違うのね」
「はい、着物は」
 実際にとだ、店の者も答えた。
「職人の手造りなので」
「そうね、では完成したらね」
「その時にですね」
「また来させてもらうわ」
「その様に」
 こうして話は決まって前以て勘定を支払った、そうしてカーミラは店を後にしたがその時にだった。
 使い魔達は姿を消したまま主に言ってきた。
「いや、全く以てです」
「手間がかかるものですね」
「それなりの服になりますと」
「古今東西問わず」
「それにお金もまた」
「そうね、けれどそれだけのものはあるわ」
 カーミラは使い魔達に悠然と笑って答えた。
「間違いなくね」
「だからですね」
「待ってお金もですね」
「構わないわ」
 一切と言ってだった、カーミラその出費と待つ時間をよしとして店の前を後にしたのだった。


第四百七十五話   完


                 2022・6・1 
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