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ドリトル先生のダイヤモンド婚式 

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第六幕その九

「あの人はね」
「間違いないわね」
 ガブガブはダブダブの言葉に頷きました。
「あの人についてはね」
「弟の義経さんをああしたし」
 チーチーも顔を顰めさせています。
「もう敵はね」
「誰彼なしに根絶やしにしたよ」 
 ホワイティも知っていることです。
「平家も義経さんも」
「同じ源氏の木曽義仲さんもだしね」
 ポリネシアはこの人のことを言いました。
「義経さんのことといい身内にも容赦なし」
「家臣の人だって何かあったらだったんだよね」
「そうらしいわね」 
 チープサイドの家族もお話します。
「まさに冷酷非情」
「自分の邪魔だと思ったら容赦しない」
「奥州の藤原氏もだったね」
 トートーはこの人達もと指摘しました。
「無慈悲な人だよ」
「こうした人って世界史では結構いるかも知れないけれど」
 老馬も否定そのものです、否定的どころでなく。
「好きになれないね」
「というかあの人といい源氏ってね」
「まず身内で争ってるよね」
 オシツオサレツはこのことを指摘しました。
「平家とか奥州藤原氏以前に」
「まず身内でだよね」
「その中心にいるのが頼朝さんでね」 
 ジップも実に嫌そうです。
「物凄く嫌な感じがするよ」
「僕もだよ、あの人にはいい印象がないよ」
 先生もでした。
「苛烈で敵に容赦しないって言う織田信長さんも実は敵でも結構助けて逆らった身内も許しているよ」
「そうなんだよね、実は」
「あの人本当は無駄な血を流さなくて」
「二度逆らった弟さんは殺してもその息子さんは助けてるし」
「必要なだけの血を流さない」
「そんな人だったね」
「日本の歴史で特筆すべき人だよ」
 頼朝さんという人はというのです。
「自分と家族以外の誰にも一切容赦しない」
「敵や邪魔という人は根絶やしにする」
「そんな人だね」
「弟さんでも」
「だから結局ね」
 先生はさらに言いました。
「源氏は誰もいなくなったんだ」
「そうそう、血が絶えたのよ」 
 お静さんも言います。
「源氏はね」
「そうだね」
「頼朝さんを含めた嫡流はね」
「誰もいなくなったね」
「もう身内で争って」 
 そればかりでというのです。
「遂にね」
「誰もいなくなったね」
「そうなのよね」
「それが因果だよ、ああしたことをしているとね」
 先生は達観したお顔でお話しました。
「結果としてね」
「誰もいなくなったりするのね」
「そうだよ、自分がしたことは返ってきて」
 そうなってというのです。
「それから逃れることは出来ないよ」
「だから源氏は誰もいなくなったのね」
「そうだよ、残念なことにね」
「本当に残念なことね」
 お静さんから見てもです。
「頼朝さんは好きじゃないけれど」
「不人気なのも当然だね」
「それで平家の人達はよね」
「保元の乱では違ったけれどね」
 その時はというのです。 
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