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ドリトル先生のダイヤモンド婚式 

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第五幕その十一

「トロとかハマチとかね」
「そうしたものがお好きなんだ」
「握り寿司も好きで」
 そしてというのです。
「巻き寿司もちらし寿司もね」
「そうなんだ、じゃあ馴れ寿司は」
 先生はこのお寿司をお話に出しました。
「どうかな」
「それはないわね」
「馴れ寿司は召し上がられないんだ」
「というか馴れ寿司自体がね」
「ああ、今はかなり少ないね」
「というかそこで馴れ寿司出せるなんて」
 お寿司のお話をしてというのです。
「かなりのものよ」
「そうかな」
「日本でもよ」
 そのお寿司の国の人でもというのです。
「今馴れ寿司をお話に出せる人はね」
「滅多にいないんだ」
「そうよ、鮒寿司とかもね」
「元々握り寿司は馴れ寿司だよね」
「馴れ寿司は作るのに時間がかかるから」
 それでというのです。
「すぐに作ったのがよ」
「握り寿司なんだよね」
「そうだけれど先生このことも知ってるのね」
「そうだよ」
 実際にというのです。
「学んでね」
「お寿司のこともなのね」
「そうなんだ」
「そこも流石ね、ただね」
「ただ?」
「先生がお寿司を食べる姿って」
 それはといいますと。
「絵になりそうね」
「僕が日本的だからだね」
「そう、絶対にね」
 それこそというのです。
「絵になるわ」
「ここでも僕は日本人だね」
「そうね、その先生ならね」
「僕なら?」
「田中さんご夫婦にもね」
 日本人の老夫婦であるこの人達にもというのです、ダイアモンド婚式を迎えたお二人も。
「ちゃんとプレゼントが出来るわ」
「そうなる様にするよ」
 先生も約束しました。
「是非ね」
「そうよね、それじゃあね」
「探していって」
「造ることもね」
「考えていくよ」
「そうしましょう、神戸は昔からね」
 お静さんは先生に笑ってお話しました。
「明治からのことだけれど」
「この街が開けてからだね」
「流石に平安の頃じゃないわよ」
 そこまで昔ではないというのです。
「私も産まれていないし」
「平安の頃には」
「だから福原のことはね」
「平家物語だね」
「聞いているだけよ」
「その頃からいる妖怪さん達からだね」
「兵庫の狐の棟梁さんとかね」 
 この人からもというのです。
「九尾の」
「それと姫路のお姫様だね」
「あと九尾猫さんよ」
「九尾なのは狐さんだけじゃないからね」
「そう、猫は五十年生きたら猫又になってね」
 それがお静さんです。
「そして千年生きるとね」
「九尾になるね」
「そこは狐さんと同じなのよ」
「それで九尾猫さんもだね」
「あの方はあの頃から生きておられるから」
「平家物語の頃から」
「清盛さんともお会いしているのよ」
 この人と、というのです。
「それでその方からもお聞きしているけれど」
「それでもなんだ」
「そう、この目では見ていないの」
「そうなんだね」
「それでも神戸のことは見て来て」
「明治からのだね」
「神戸が開かれてね」
 そうしてというのです。
「沢山の外国の人達が来て」
「その人達もいてくれてね」
「ハイカラな文化が入って来ていて」
 そうしてというのです。
「そうした時計もね」
「あるんだね」
「だからじっくり探せばね」
「あるんだね」
「きっとね、だから皆で探して」
「造ることもだね」
「考えていきましょう」
 こう先生に言うのでした、そして先生も笑顔で頷きました。 
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