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レーヴァティン

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第二百五十六話 宴を楽しみつつその三

「お箸の使い方をっちゃ」
「忘れるんだね」
「朝起きてっちゃ」
「あっちの世界に戻ってだね」
「朝ご飯を食べる時にっちゃ」
 まさにその時にというのだ、愛実は笑って話した。
「お箸の使い方をふと忘れたとなる時がっちゃ」
「あるんだね」
「そうっちゃ」
 まさにというのだ。
「そうなるっちゃ」
「成程ね」
「そうっちゃ、けれどものごころ着く前に教えてもらって身に着けてるっちゃ」
 箸の使い方をとというのだ、三つ子の魂百までというが幼い頃に教えられたものは忘れないものなのだ。
「だからすぐにっちゃ」
「思い出すんだね」
「そうっちゃ、それじゃあ今からっちゃ」
「食おうね」
「そして飲むっちゃ」
 笑顔で言ってだった。
 愛実が音頭を取って乾杯を告げた、そうしてだった。
 全員飲んで食べはじめた、そして。
 そのイカ墨のスパゲティを食べてだ、桜子は笑顔で言った。
「これだよ、この味だよ」
「美味しいっちゃな」
「この味をこっちの世界でも味わえてね」
 それでというのだ。
「嬉しいよ」
「そうっちゃな」
「ああ、抜群の味だよ」
 こうも言うのだった。
「オリーブと大蒜も利いていてね」
「それで尚更っちゃな」
「いいねえ、長い間食っていないと」
「尚更っちゃな」
「ああ、ただ起きた世界だとな」
 そこではというのだ。
「やっぱりな」
「食べてるっちゃな」
「そうしてるよ、このスパゲティもな」
 イカ墨のそれもというのだ。
「そうしてるよ」
「イカ墨のスパゲティはいいっちゃな」
「何かの漫画でインクかけてるのかって言ってたけどね」
「ああ、あの奇妙な冒険の漫画っちゃな」
「そうそう、それだよ」
 スパゲティの後赤ワインを飲む、桜子はそれからまた言った。
「面白いね、あの漫画」
「それを読んでっちゃな」
「そうしてだよ」
 まさにというのだ。 
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