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夢幻水滸伝

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第二百四十八話 石と共にその十三

 その後で茶を飲んでまた言った。
「今からな」
「それでは」
 紅美も頷いて応えた。
「そうさせて頂きます」
「ほなな」
「思えばです」
 紅美は茶を飲みつつこうも言った。
「ここまで一瞬でした」
「短かったか」
「はい、ほんまに」
 こう施に話した。
「そうでした」
「それは誰でもかもな」
「ここまで、ですね」
「世の中のことは長い様でや」 
 それでいてというのだ。
「一瞬のことや」
「一瞬ですか」
「そや、十六年は一昔というが」
 日本で知った歌舞伎の言葉も思い出した。
「まさにな」
「一瞬のことですね」
「自分等のこの世界のこともな」
「一瞬ですか」
「寝たら来ることが出来る夢の世界や」
 ここでこのことを言うのだった。
「寝ていてな、この世界におる時間がどれだけ長くても」
「それでもですね」
「起きてる世界では一晩のことや」
「寝ているだけですね」
「それだけのことや、まさに一睡の夢や」 
 施はこうも言った。
「そやからな」
「今の私の言葉もですね」
「その通りやな、一瞬のや」 
 まさにそれのというのだ。
「出来事や」
「そういったものですね」
「まさに光陰矢の如し」
 こうも言うのだった。
「何事もな」
「こちらの世界のことも」
「そや」
 まさにというのだ。
「そうしたもんや、そやから自分がそう言うのもな」
「当然のことですか」
「そう思う、しかしその一瞬のことがな」
 施は紅美に笑って話した。
「色々あってしかもおもろい」
「そやからですか」
「話してくれるか」
「それでは」
 紅美もここで頷いた、そうしてだった。
 話をはじめた、彼女もまたここに至るまで何かとあったことがわかる話を。


第二百四十八話   完


                    2022・3・1 
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