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イベリス

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第六十一話 ドーナツその四

「街並みも奇麗で宮殿もあってね」
「何か東京と全然違うわね」
「そうね、ただ賑やかさと面白さではね」
「東京の方が上ね、それどの国の人も言うわね」
「咲ちゃんの学校世界中から人来るからね」
「皆言うわ」 
 海外から来た生徒や教師達はというのだ、咲は八条学園東京校に入学してからそうしたことも言われているのだ。
「それは」
「そうでしょ」
「過去と現在が一緒にあってね」
 そうしてというのだ。
「色々なものが観られる」
「そうした街だって言うわね」
「人が多くて繁栄していて」
 咲は愛に話した。
「賑やかで夜も眩しいってね」
「それが東京でしょ」
「こんな色々なものがある街はないってね」
 その様にというのだ。
「皆言うわ」
「そうでしょ、だからウィーンも凄いけれど」
「東京はまた別なのね」
「そうよ、けれどウィーンの奇麗さと音楽はね」
 この二つはというのだ。
「素晴らしくて」
「それでなのね」
「ザッハトルテとワインを楽しみながら」
「音楽も楽しめるのよ」
「あの街はね、だからよかったら」
「ウィーンに行ったら」
「そうして楽しんでね、それとね」
 愛は話を続けた。
「日本でもスイーツとワインは楽しめるから」
「楽しんでいっていいのね」
「それどころか中華料理やハンバーガーともね」
「楽しめるのね」
「それで和食と白ワインも」
 この組み合わせもというのだ。
「楽しめるのよ」
「日本にいたらそうなのね」
「そうよ、こうした国も他にないわよ」
 こうも言うのだった。
「色々なものが食べられてお酒もね」
「色々飲めるのね」
「オーストリアで和食と白ワインなんて」
 この組み合わせはというのだ。
「海外じゃ和食はご馳走だから」
「お寿司とか天麩羅とかね」
「だからね」
 それでというのだ。
「日本みたいに手頃の楽しめるのはね」
「有り難いことね」
「そうよ、お刺身とか天麩羅食べてね」
 そうしてというのだ。
「日本酒が苦手なら白ワインを飲む」
「それが出来るのは日本ね」
「この国だからよ、私魚介類も好きでしょ」
「特にお刺身がね」
「そこで日本酒はちょっと、って時にね」
「白ワインがあるとなのね」
「これがいいのよ、さっき明治帝のお話をしたけれど」
 糖尿になられたこの方のことをまた話すのだった。
「糖尿病になられてからは白ワインを飲まれていたのよ」
「そうなったの」
「お医者さんに言われてね」
 即座に切り替える様に言われたという。
「あの方はお酒が大好きであられたから」
「それでそれを止められることはなくて」
「白ワインに切り替える様に言われて」
 フランス産のそれにである。
「飲まれていたそうよ」
「そうだったのね」
「ええ、それでワインは身体にいいから」
 酒の中ではそう言ってよくてというのだ。 
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