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赤子の護り手

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第二章

「心配するんだ」
「そうなんだな」
「俺達が何もしないとわかっていてもな」
「それでもか」
「ふわりは頭がよくて優しいからな」
 そうした娘だけあってというのだ。
「ずっとな」
「警戒してるんだな」
「そうだ、犬は強大が赤ん坊の時は護ってくれてな」
 今の様にというのだ。
「それで立てる様になったらな」
「その時はか」
「友達になってな」
「一緒に遊んでくれるんだな」
「そしてな」
 そうしてというのだ。
「もっと大きくなったら散歩とか一緒にいて何かとな」
「教えてくれるんだな」
「そんな生きものなんだよ」
「そう思うと犬って凄いな」
 洋介はここまで聞いて心から思った。
「ただ一緒にいてくれるだけじゃないんだな」
「そうよね、若しあの人達がふわりをちゃんとわかっていて」
 百合子はここでふわりの前の飼い主のあの夫婦のことを思い出した。
「それでね」
「そのうえでだな」
「赤ちゃん達と一緒に大事にして」
「皆公平に愛情を注いでいたらな」
「こうしたこともわかったのね」
「そうしたことをわかるにもある程度のものが必要なんだよ」
 洋介は妻に厳しい顔と声で答えた。
「あそこまでの馬鹿で腐った性根だとな」
「そうしたこともわからないのね」
「零点いやマイナスの奴に何かわかるか」
 それこそというのだ。
「もうな」
「そうなのね」
「ああ、だからな」
「あの人達にはわからないで」
「それでな」
「ああなったのね」
「そうだ、マイナスの奴にはいいものはわからないんだ」
 洋介は冷たい声で言った。そして何もわからないでな」
「破滅するのね」
「こんないいものわかる筈がないんだ」
 妹達の傍にちょこんと座って自分達をきらきらとした黒い目で見ているふわりを見て話した、ふわりは妹達の傍を離れない、そしてしっかりと護っていた。


赤子の護り手   完


                    2022・7・24 
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