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人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった

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32話 Break the cage!


「わざわざ場所を変えなくても....................」
「仕方ありませんわ!!あの時は私の身体も物理的にダメージを負っていましたし..............」
「いや理由になってないから。別に理由があるんじゃないのか?」
「ええ..............................」





堕天使奥義堕天龍鳳凰縛を喰らったダイヤの首にはかなりのダメージが入ったようだ。実際、その首を未だに触り切っているのがその証拠だ。ちなみに千歌の家の前まで来ている。





「実を言うとこれは他の人間には聞かれたくはないのです。」
「他の人に?」
「ええ..................正直、不確定要素ないしデマである可能性が高いですが................」
「ああ、構わない。情報は多い方がこの謎を解く鍵になるからな。」
「果南さんは歌えなかったんじゃありません。正確には自らの意思で歌わなかったのですわ。」
「え!?」
「どうして———————」
「そんな................でも悪意があった訳じゃないんだよね?」
「それは言わずもがなですが............」
『グルルルルルゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!』
「え!?怪人!!」
「虎太郎、特にお前は遠くに離れてろ。」
「ああ————————」
「今回はスマッシュか——————プレススマッシュね................」





プレスという名前だけあって、その体は平べったく巨大である。姿か形から見るに、仮面ライダーのことを1通りオーマジオウから知り尽くしている俺の記憶からもこの腕時計の解説にもクローンスマッシュと記されている。クローンスマッシュは普通の個体より弱いどころかむしろ強化されているが—————————





「俺には絶対に勝てねぇ——————ムテキだからな。さて、ゲームスター『待て!!』———————え!?」
「そいつは!!」
「俺たちが倒してやる!!!」
「スペクターにサガ!?!?どういう風の吹き回しだよ!?」












襲いかかってこようとしていたプレスクローンスマッシュを突然現れたサガとスペクターに守られる形になる。


ガンガンハンドのロッドモードとジャコーダーロッドでプレスクローンスマッシュの進行を防いでいる状況から、一旦その拘束を解放して自分の体重で体勢が傾きかけたところを背後からクロス斬りをお見舞いする。


さすがはそのガタイのデカさに劣らず、頑丈ではあったが確実にダメージは与えていた。その後にスペクターはガンガンハンドを銃モードに切り替えて遠距離線を、サガは自らのジャコーダーをジャコーダービュートへ変異させて触手のような鞭での中近距離戦法で戦う。


どうにも2人のコンビネーションは意外にもあっている。それでこそ数回あっているほどではあるが、ここまでのコンビネーションを発揮できるのは....................





≪ウェイクアップ!≫





≪ダイカイガン! スペクター! オメガドライブ!≫






スマッシュの鋼鉄でできていそうな頑丈な肉体に向かって必殺技——————スネーキングデスブレイクの準備が完了したジャコーダーの触手を突き刺す。


それは見事に命中しその体を貫く。それを見計らって、上空にできたキバの紋章まで高く飛ぶ。その紋章の中に少しばかり入って、鞭をその紋章を土台に吊し上げる。


そこから宙ぶらりんになっているスマッシュにスペクターの必殺キックを喰らわせ、その蓄積ダメージを極限まで高める。


最後に処刑が完了したかのように鞭をしまう。スマッシュは爆発四散するのであった—————————



それを見届けたかのようにその装甲を外す。整った顔立ちの2人の青年が俺たちの前に姿を見せる。














「意外に早かったな..................」
「お前が甘いからだ。」
「そんなことより—————————魁、お前................父親は大丈夫なのか?」
「いや、約束は破った。俺は———————自分の意思で生きていたい。俺は自分自身で王であると誓ったんだ!」
「そうか——————————竜介先生なら間違いなく『よくやった!』って言うだろうな。」
「彼にも感謝してるよ。俺を——————目覚めさせてくれた1人だからな。」
「—————————才、お前やっぱり忘れてるな。」
「え?忘れてる?」





忘れているという単語を聞かされて、心臓が飛び跳ねる。そしてすぐにその探究を始める——————————が、中々出てこない。





「まぁ、無理もないか。小学2年生の時転校したもんな。」
「え——————————あっ!!!」





何故忘れていたのか————————微塵も思い出せなかった。そんな伏線なんて考えたこともなかった。転校というワードで薄々ながら、その姿かたちが蘇ってくる。まさか....................





「小原魁.............そうか、思い出した。保育園から小学生まで一緒だった!!しかも結構遊んでたし———————」
「俺も忘れてたけど——————稜が思い出させてくれたよ。」
「魁君.................あっ!!よく才君と稜君と遊んでた男の子って魁君だったんだ!!!!」
「あ!それチカも覚えてる!!確かよく才くんと喧嘩してたよね!?」
「ワーオ!!もしかしてマイブラザーとファイトしてディフィートしてたのは、才だったのね!!」
「ちょっと姉さん!」
「まぁ、流石天っ才ゲーマー伊口才だな!!」





俺が魁について思い出した途端に、その場の空気が明るくなる。そう——————俺たちが求めているのはこの状況なのだ。





「ダイヤ、話を戻そう。」
「えっ、ああ............ですが............彼はいいんですの?」
「むしろそのために俺たちが来たんだから。」
「どういうこと?」
「俺—————————改めて気づいたんだよ。俺が王を夢見るのと同じように、姉さんがスクールアイドルをやりたいっていう願いを。俺はまだ父さんに思い切って逆らってない。でも——————父さんは間違い。それを吟味するためなんだ。だから過去で姉さんたちに何が起こったのか.........................それを知るのが1番の鍵だ。」
「という訳だ。」
「なるほど————————それほどの覚悟があるのでしたら、問題ありませんわ。」





ダイヤは再び話し始める。


ここで整理しておきたいのだが、ここで魁と稜が繋がっていたことを考えると稜の父親が転勤になったのがサウザーの仕業と断定できたのは魁のおかげなのかもしれない。


実際、それが事実であったからに彼も腹を括ったのかもしれない。実の父親の悪行に。実際に、この謎の1つや2つにサウザーが少なくとも何らかの関与はしているだろう。





「果南さんはあえて歌わなかった—————————その理由は主に2つあります。」
「2つ?」
「1つは............鞠莉さん、貴女のためですわ。」
「私の..............?」
「覚えていませんか?あのイベントの日———————貴女は怪我をしていたでしょう?」
「まさか———————私はそんなこと言って........」
「あのまま進めていたら.............どうなっていたでしょうね?怪我は悪化するのはもちろんのこと———————最悪の事態だって考えられましたわ。」
「右足の足関節捻挫————————外側靭帯を痛めることはスポーツ外傷としてはよくあることだ。重症度が高いが軽視されるが故に慢性化しやすい。慢性化すれば慢性足関節不安定性や将来的には変形性膝関節症などという病気に一生悩まされ続けたかもしれない。そういう意味では正しい判断だな。」
「(無意識に天才イキリが出てるけど放っておきましょう...........)」
「でもその後は?」
「そうだよ.........怪我が治ったら、続けても良かったのに.............」
「鞠莉さんに留学話が何度も何度もやってきたのです。もしこのままスクールアイドルに付き合わせていたら、鞠莉さんの将来が失われるのではないか................そう考えたのですよ。」
「なるほど.....................」
「そんな.............そんなことの為に————————!」
「それだけではありませんわ。2つ目は————————私たち自身のためでもあるのですよ。」
「え?」
「果南さんのお父様が怪我をしておられるのはご存知ですわよね?」
「ああ、それが原因で休学していたけど.................」
「実はある陰謀が囁かれていたのですわ。」
「陰謀...........ですか?」
「ええ——————————『黒澤家の人間の命令で果南さんのお父様に怪我を負わせた』————————というものですわ。」
「え!?そんなこと!!」
「ありえない————————分かっていますわ。ですが、黒澤家にはそれを実行して揉み消すだけの権力がある。そう考えた人間がいるのでしょう。事実、果南さんのお父様は夜に梯子から何者かに落とされた———————そう証言しているのですから。」





そこで俺はひょんなことをダイヤに聞いてみる。まさかの返事が返ってくるとは思いもせずに..............





「なぁ———————もしかしてさ。それって..............あの2年前の未解決殺人事件と関係あるんじゃねぇのか?」
「「「「「「!?!?!?!?」」」」」」
「未解決って............あの沼津で起きた?」
「ああ。」
「———————可能性は否定できませんわ。実際に、起きたのは果南さんのお父様が怪我をされた2週間後です。しかもお亡くなりになられた方は黒澤家と関わりのある方でしたので.................」
「なるほど...........果南の父さんが攻撃されたのを、黒澤からの攻撃と勘違いした小原が黒澤の関係者を殺った..............筋は通らんでもない。」
「だから果南さんは................」
「それだけではありませんわ。その騒動の裏で小原と黒澤が対立していた————————自分のせいで私や鞠莉さんに危害が及ぶかもしれない.................そう考えたのですわ。」





もしダイヤのいうことが正しいのであれば、果南の意見にはつくづく納得させられる。だからこそ...............俺たちが—————————





「クソっ!!!!!俺が———————胸を張って言ってやれば良かった!!!俺が守ってやるって——————!」
「稜————————————」



















今日の天気は『晴れのち曇り』その後雨であるということを確信させていた——————————




—————※—————







ザァァァァァァァ








「アギト............龍騎.......ファイズ........ブレイド.......響鬼......カブト.......電王..........キバ..........ディケイド.............ダブル.........オーズ..........フォーゼ———————ほとんどレジェンドライダーを保存したガシャットは完成したな。後は————————クウガと.............ゼロワンか。」





オーマジオウ曰く、ライダーの歴史は続いているのだ。ゼロワン以降もライダーが生まれればその都度オーマジオウに連絡してもらうことにした。


ビルドとゴーストガシャットを作ったときに同質のシステムがあった。これは今作った全てのガシャットにも共通していた。そこで俺は新たなガシャットを作っている。これが完成すれば、あらゆる敵に関して優位に立てる。その設計図はもうすでにできている。必要なものも全て揃っている。後は組み立てるまでだ—————————


だがオーマジオウからライダーの力の一端を譲渡してもらったとはいえ、クウガの力に至ってはまだまだ謎が多すぎる。現在解析中だが—————————





「これで分かったらとっくにやってるんだよな——————ん?」
「オイ、才!!冷蔵庫にあったプロテインどこにやったんだよ!?」
「ああ...........あれ賞味期限とっくに切れてたから捨てましたよ。」
「はぁ!?何やってんだよ!!!プロテインがなかったら俺の『筋カツ』が乱れるじゃねぇか!!!」
「何で賞味期限切れたプロテインにわざわざこだわるんだよ——————」
「賞味期限までせっかく待ってたのに———————」
「え?竜介先生、賞味期限の意味わかってます?」
「賞味期限ってその日からどんどん美味しくなったり効果が上がる日だろ?」
「バカじゃねぇか..............もう教える気にもなれねぇよ............」





もう筋肉バカってレベルじゃないと思うんだけどな...............俺のIQが図れる範囲を大いに超えているニュアンスでの測定不能なら、竜介先生はその図れる範囲内を大きく下回っての測定不能に違いない。うん、違いない。





「そういえば魁が助けてくれたんだってな!」
「ああ......................アイツも変わりつつあるってことですよ。竜介先生の言った通り、自分自身で王になろうとしているんですよ。」
「そうか..................ところで前に言ってたゲリラライブっていつの予定なんだ?」
「さぁ.................少なくともこんな天気じゃできないな.............」
「晴れればいいけどな....................その2週間後には夏祭りだな!!」
「そこのところの演出は大分完成が近いですけど...............................そもそも歌詞と曲調がわからない以上、大幅に変更する余地はある。」
「全く———————この夏は忙しいな.....................」
「何他人事みたい言ってるんですか、もうじき学期末なんですから竜介先生も自分の仕事をやってくださいよ!!」
「うるせぇ!そのためには筋肉つけなきゃいけねぇんだ!!」
「思いっきり論点がズレてんだよ—————————」



















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜










「内浦に流れている噂———————だと?」
「それが事実かどうか..................ということです。」
「なるほど.................それは興味深い。」





魁は東京に戻った後に、その旨を兆一郎に確かめていた。1つ1つ確認していこう。1つはスクールアイドル中に鞠莉が怪我をしたこと、2つは果南の父親の負傷と黒澤家関係の人間の殺人についてだ。


もちろん果南の父親であるということは触れていない。あくまで『ある男』という扱いだ。





「単刀直入に言おう。それの情報は嘘だ——————————一部分はね。」
「一部分?」
「ああ、全ては———————スクールアイドルを潰すため、鞠莉を誑かさないためのプロットに過ぎない。」
「———————————」
「東京のイベントに内浦出身のスクールアイドルが出場することは私の計画にとっては最も邪魔だからね...................自然に退場してもらった。」
「え?」





魁の頭の中には一瞬クエスチョンマークが立ち並んだ。そもそも東京のスクールアイドルイベントのことなど口にしていなかったからだ。ただ単に鞠莉が怪我をしたという事実を知っていたかということを序盤に問いただしたのみであるから。





「.............じゃあ、姉さんが怪我をしているのを知っていて東京のイベントに出場したと?」
「知っているも何も————————私が《《それ》》を実行したのだから。」
「え!?」
「鞠莉のスクールアイドルへの熱を冷ますには怪我をしてもらうのが1番だったからね。鞠莉の食事に微量の筋弛緩剤を含ませておいた。習慣的になれば、怪我をするのは免れない————————」
「そんなことまで..................」
「だが鞠莉はその点を上手く超えてきた—————————そこで私は他の2人に目をつけた。」
「他の?」
「私は................使用人に命じて鞠莉の悪友—————————松浦果南の父親に負傷を負わせることにした。そうすれば彼女は自分の父親に代わりにダイビングショップを手伝わなければならないからね。」
「そしてそれが黒澤家の仕業という噂を流して、黒澤家と近しい関係者を暗殺した——————————見事に私の計画通りに松浦果南は鞠莉と黒澤のお嬢さんを想う気持ちからスクールアイドルを解散した...................鞠莉の留学話がそれを加速させた...................」
「そんな....................何もそこまで!」
「私は自分の理想のためなら手段を選ばない————————たとえどんなことをしようともね.......................!」






ゴロゴロゴロ!!ピシャアン!!!!!







ドザァァァァァァァァァ!!!!!!















———————————————












ザァァァァァァァ!!!!! ゴロゴロ!!







ポタポタ............ポタポタ..................ポタポタ..................











「ウワォォォォォォォ!!!!!!!!」




悲しみ、悲しみ、悲しみ—————————怒り。その割合で起こる感情の起伏はドバドバと降りたくる梅雨を感じさせない。


その代わりに自分の父親を今まで信じてきた———————その罪が..............一度とはいえ、小原の使用人を殺害してしまった罪————————その重みが冷たさとなって体に纏わり付く。





ガシャァァァン!!!





怒りが雷となってこの大地を抉る。この状況を作り出したのは父親(サウザー)だ。間違いなく小原魁————————その男の父だ。


どことも知らない土地からバサバサと得体の知れない物体が近づく................





「キバット....................」
「ようやく気づいたか...............自分の父の愚かさに。」
「いや———————1番愚かなのは俺だったんだ。父さんは愚かじゃない、それを嘲笑う者に過ぎなかった————————」
「やはり...........お前にサガークを渡したのは正解だったな。」
「何?」
「サガークには器を形成する力がある。無限ともいえるその魔皇力を受け入れるその器をな。」
「————————————」







「どうやら.............お前には俺が必要なようだな。見解を改めよう。お前ほどの悲しみを見せた男は他にはいない———————————気に入った。お前ならなれるかもしれないな................最強の(キング)に。」












左手に常に着けていた手袋——————その手に隠された王たる紋章。サガはすでにその時から始まっていたのだ。





≪ガブリ!!!!!!≫






闇のキバ———————キバット・バットII世はその王の紋章を認めるようにその手を噛み、その王の魔皇力を活性化させる。


その瞬間に鎖が腰に巻き付き、ベルトへと姿を変える———————-











「変身————————」






















闇に潜む蝙蝠の王————————その翠の複眼に写るのは...................













ゴロゴロゴロ!!ドカァァァン!!!!












『闇だ……《《闇の歴史》》がここから始まる——————————




















闇だ.......................闇だ...........................................!





 
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