母親が同じでも

　　　　　　　　　　　　　　　母親が同じでも
　いきなりだ、高橋友香は夫の浩介に家で言われて驚いた。黒髪を短くしていてきりっとした顔で唇は薄く小さい、面長でスタイルはよく一七七ある夫よりも少し低い位の長身である。
「えっ、貴方妹さんいたの」
「今はじめて言うけれど」
　夫は妻に申し訳なさそうに答えた。映画俳優の様な目立つ顔立ちで黒髪も整っている。引き締まった体格である。仕事はスポーツインストラクターである。夫婦で同じ職場で働いていて時間の都合がいい。
「実は亡くなった親父は離婚していて」
「それは知ってるけれど」
「別れたお袋は再婚して」
　そうしてというのだ。
「そこで二人女の子が出来ていたんだ」
「そうだったのね」
「もう俺とは関係がないから」
「お義父さんと別れたから」
「遠いところに行って会うこともなかったしね」
「それでそのお義母さんがなのね」
「癌で亡くなってね」
　そうなってというのだ。
「お葬式にね」
「あなたも呼ばれていて」
「お前もな」
「そうなのね」
「だからな」
「行くしかないわね」　
　妻はいきなりのことなので戸惑っていたが社会的なルールを考えて言った。
「あなただけでなくね」
「お前も一緒に」
「貴方から見たら実のお母さんだね」
「お前から見たら姑さんでな」
「やっぱりお葬式はね」
「出ないと駄目だな」
「ええ、それじゃあ」
　友香は浩介にあらためて答えた。
「行きましょう」
「そうしような」
　こう話してだった。
　夫婦で自分達が住んでいる大阪府から愛知県まで行った、連絡があったその家はかなり大きな家で友香はその家を前にして浩介に言った。
「お義母さん随分とね」
「ああ、羽振りのいいお家の人と再婚したんだよ」
「そうだったのね」
「ああ、だからな」
　それでというのだ。
「これだけ大きな家なんだよ、けれど俺も来るのはな」
「はじめてね」
「本当に縁が切れてたからな」　
　母とはというのだ。
「子供の頃だったし俺は親父に引き取られて」
「お義父さんの実家で一緒に暮らして」
　父子でだ。
「それでね」
「祖父ちゃんと祖母ちゃんにも育てられてな」
「ずっと大阪にいたわね」
「ああ、だからな」
「ここにはなのね」
「来たのはじめてだよ」
「そうなのね」
「じゃあ入ろうな」
　葬式が行われている家にというのだ、そしてだった。
　二人は喪服で葬式に出た、その後で。
　二人で夫の妹達母親は同じだという二人に会った、名古屋の大学に通っていると聞いている長女は初音といってで如何にも真面目そうな黒髪が長い優しい顔立ちの小柄な女性だった。
　高校生で名前は鶫という次女も小柄だが元気のいい感じで茶色にした短い髪の毛で日焼けしているが顔のパーツは姉妹でそっくりで。
　二人は彼女達が写真で見た母友香から見れば義母にあたる彼女に似ていると思った、その二人にだ。
　浩介は妻と共に正座をしてお互いに向かい合ってだ、夫婦で頭を下げて挨拶をした。