銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
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第百三十四話 帝国の新たなる始動
前書き
おまたせしました。今回は少々少なめです。
2014.05.18国務省の下りを修正。
帝国暦483年8月~11月
■オーディン ノイエ・サンスーシ
ラインハルト・フォン・シェーンヴァルトとジークフリード・フォン・キルヒアイスはクロプシュトック侯爵が起こした一連の事件の後、解放されたが、その際にグリューネワルト伯爵夫人アンネローゼが危うく命を落とす所であったことを知り、ラインハルトは姉の安否にホッとしながらも犯人に対する怒りに震え、“奴等を八つ裂きにしてやる”キルヒアイスに独白し、キルヒアイスはアンネローゼ様の無事を心から安堵しながら、犯人に対する怒りも有るが、何故あの時、宮中警備隊に移動してアンネローゼ様の御側に行かなかったのかという、後悔も沸々と心の中で沸き上がっていた。
その後、アンネローゼのもとへ二人して会いにいき、無事を確認しながら3人で話をし、やっと少しは落ち着くことが出来たが、ラインハルトにしてみれば、“皇帝の寵姫であるが故に姉上が命の危険に晒される”のであるから、益々フリードリヒ4世に対する憎悪が沸き上がるのであり、帝位簒奪を益々心に決めるのであった。
しかし、皮肉なことにフリードリヒ4世の(実際にはテレーゼの勧めであるが)勧めで弟であるラインハルトと幼なじみであるキルヒアイスに3ヶ月間、グリューネワルト伯爵邸の警備任務が命じられ、毎日アンネローゼと会うことが出来たため、落ち着きを取り戻し次の任務への英気を養うこととなった。
その後、宮中の警備が更に強化されることになり、多少なりとも2人とも安心できたために、断腸の思いであるが、武勲を立てる為にイゼルローン要塞への移動を希望し前線勤務へと戻っていった。
帝国暦483年11月
■イゼルローン要塞
ラインハルトとキルヒアイスがイゼルローン要塞に移動直後から、帝国全土では皇太子の喪に服したために大規模な攻勢を行わなくなったが、通常業務の星域パトロールや惑星カプチェランカへの補給部隊などはイゼルローン要塞を進発していたために、2人とも積極的に参加し、小競り合いではあるが武勲を上げつ続けて行くことに成る。
同じ頃、イゼルローン要塞の人事も行われ、イゼルローン要塞司令官クライスト上級大将は統帥本部次長に、イゼルローン要塞駐留艦隊司令官のヴァルテンベルク上級大将は軍務省次官にそれぞれ就任しイゼルローン要塞を離れ、原作通り後任のイゼルローン要塞司令官にトーマ・フォン・シュトックハウゼン大将
が、イゼルローン要塞駐留艦隊司令官ハンス・ディーリッヒ・フォン・ゼークト大将が就任した。
その頃、オスカー・フォン・ロイエンタール准将は親友と腐れ縁の昇進を聞きながら、一時的なオーディンへの帰還を命じられ、レテーナに話した結果、彼女も暫く休んで着いてくると言われてタジタジに成って居たが、ママのユリアーネ・フェルゼンシュタインの脅しもあって(“うちの娘を泣かしたら承知しないわよ”とにこやかに目が笑っていない状態で言われた)共にオーディンへ行くことに成って居た。
ロイエンタール曰く、“この俺が1人の女に振り回されるとわな”“あの凄みは今まで知り合った女の中で一番だった”等々愚痴をこぼしたのを副官のエミール・フォン・レッケンドルフ中尉が聞いていて後日日記に残しているの事が判り、ロイエンタール提督の為人を知る上での良い資料となった。
ラインハルトとキルヒアイスが少しずつだが武勲を上げ、ロイエンタールが押しかけ女房に成りつつあるレテーナと共にオーディンへ向かった頃から、イゼルローン要塞に次々とメンヒェングラトバッハ星系やイゼルローン要塞に近い惑星リューゲンなどから輸送艦が到着しては物資を揚陸していった。
更に工作艦隊や工兵部隊も多数動員され、その物資を使ってイゼルローン要塞同一軌道上に釣り合いが取れるように何かを建築し始めていた、又イゼルローン要塞の衛星軌道上にも人工天体らしき円形の物体が16個構築される準備が進んでいた。
衛星軌道上の物体を見て、要塞駐留の者達でそれが何かを答えられる者は憶測以外は皆無であろう、恐らく亡命者であれば或いは判るかも知れないが、確実に判るとすれば攻めてくる同盟軍の兵達であろう。
帝国暦483年11月~
■銀河帝国
銀河帝国ではクロプシュトック事件の後始末として肥大した省庁の再編が此幸いとして行われた。
宮内省、典礼省、軍務省、財務省、司法省、学芸省、内務省の七省体制から、以前から肥大し批判の多かった上にクロプシュトック事件に関与した内務省は分割されることとなり、首謀者の1人として逮捕後、処刑されたフレーゲル内務尚書に変わり内務次官のハルテンベルク侯爵が内務尚書に昇進し内務省分割を指導していた。内務省は大きく4つに分割されることとなり、内務省、商務省、運輸省、国土省となった。
更に今まで無任所で扱いであった、国務尚書の地位が正式な物となり、新たに政を総括する役割が与えられた。此により、銀河帝国の省は十一省体制となり新たな省の尚書として実力のある者達が指名された。
国務尚書リヒテンラーデ侯爵、宮内尚書ノイケルン子爵、軍務尚書エーレンベルク元帥、財務尚書カストロプ公爵、司法尚書ルンプ伯爵、学芸尚書ウィルヘルミ男爵は留任で有ったが、内務尚書にハルテンベルク侯爵、典礼尚書にゲルラッハ子爵、商務尚書にマリーンドルフ伯爵、運輸尚書にオスマイヤー、国土尚書にはシルヴァーベルヒが大抜擢され多くの者が驚きを持って聞いた。しかし最大に驚いたのは本人であり驚きの余り夢ではないかと自ら頬を殴って顔を腫らしながら大喜びしていた。
このシルヴァーベルヒとオスマイヤーの大抜擢はテレーゼが原作知識で使える人材を集めていたために、彼等の実績を示して皇帝の裁可を受けたもので有り、次官クラスもそれぞれ優秀な人材を集めていた。マインホフはマリーンドルフ伯爵の商務次官として、グレックはシルヴァーベルヒの国土次官に配属された。
国土省は帝国全土の開発を指導する事と成ったため、惑星開発庁は皇帝直轄から国土省へ移管されシルバーヴェルヒ、グレックコンビにより今までよりより効率のよい開発が進められることとなり、フェザーンの帝国惑星開発が先細りと成っていくのであった。
運輸省は帝国全土の交通航路空港宇宙港などの開発、運行のスケジュール調整などと共に、司法省、軍務省、内務省警察局などど協力し宇宙海賊や密輸の取り締まりをする事も仕事である。現在日本で言うところの海上保安庁のような仕事も行う事になった。
商務省は、帝国全土の農林水産商業工業を監督指導する組織である。マリーンドルフ伯爵の誠実な人柄とマインホフの能力が合わさって実績を上げていくこととなる。
内務省はハルテンベルク侯爵の下で帝国全土の民政、出入国管理、警察関係などを担当し以前のような強大な権力は無くなったが、ハルテンベルク侯爵自身サイオキシン麻薬事件でお目こぼしを受けているため、皇帝陛下に感謝こそしても、不満に思うこともなく内務省を指導していた。
社会秩序維持局は完全に廃止されたが、それに変わる組織が密かに組織はされていた。しかし今までのような証拠無しの憶測だけで臣民を処刑していた組織ではなく新たに幾つかの組織が開設された。
内務省警察局に思想犯、テロリスト、不穏分子を取り締まる特別高等警察、通称特高が開設。
皇帝直轄に銀河帝国中央情報庁が開設。
司法省に銀河帝国特別捜査局、通称特捜が開設。
それぞれの組織は皇帝のもと、横の繋がりを持ち既得権益に囚われない様に指導され、通常の組織では良くあるような縦割り行政による弊害を排除するように勅命されている。此により帝国内部における捜査権は大きく前進していくのである。
各省庁とも膿を絞り出し健全化への道を歩むこととなった。
帝国暦483年11月
■オーディン
シルヴァーベルヒとグレックの尚書と次官就任に伴って、ローエングラム大公記念劇場の建設はスローペースに成ったが、元々喪中であるので来年の484年9月完工を目指すこととなり、それに伴い帝国歌劇団第一期生の募集も延期されたが、下準備は着々と進んでいた。
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