フェアリーテイルに最強のハンターがきたようです
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第6章 英雄感謝祭編
第22話 フィニス
アレンは、何かを考え込むような顔をして、首都クロッカスに身を置いていた。分身体が有益な情報を得しだい、適切な行動がとれるよう、街のほぼ中心部であるホテルの近くを散策していた。行きかう人々の挨拶を受けながら、適当にあしらっていると、遠くから自分を呼ぶ声が聞こえる。
「アレーンッ!」
「ん?カグラか、どうした?」
声と輪郭から、すぐに声の主が分かったアレンは返事をする。そして、目を見開く。なんと、あのカグラが男の手を引いて、こちらに向かっているのだ。
「カ、カグラ!お前、彼氏できたのか!!よかったな!!!」
「ちがーーう!!」
アレンの言葉に、カグラは今まで発したことのない声を出す。
「アレンさん!!」
カグラの彼氏?っぽい男が俺の名を呼びながら走ってくる。見知ったようなその呼び方に、アレンの頭にハテナが生まれる。
「ん?あれ、俺の知り合い?ん?…あれ?」
アレンは思い出すようにして頭を悩ませていると、その後ろの女も「アレンさーん」と声を上げる。その声の主の顔を見てアレンの頭に電流が走った。
「シ、シモンと、ミリアーナか!!久しぶりだな、おい!」
「よかった。覚えていてくれたんですね!」
「嬉しいニャ!」
アレンの言葉に、シモンは手を取って上下に振り、ミリアーナはぎゅっと抱き着いてくる。
「死んだと聞いていたので、驚きました!また再会できてよかったです!!」
「楽園の塔では助けてくれて、ありがとうだニャ!!」
シモンとミリアーナは、涙を浮かべながらアレンにお礼を言った。
「そっか、シモンとカグラ、再会できたんだな!よかった!!」
アレンがそう言うと、カグラはシモンが握っているアレンの手の上に、重ねるようにして自身の手を置く。
「全て、あなたのおかげです…。ありがとうございます」
カグヤもどこか感慨深い様子で、アレンにお礼を述べた。エルザの目尻にも、少し涙が浮かんでいるようであった。
「何言ってんだ、お前らの…ッ!!…まさか!そういうことだったのか!!」
アレンが穏やかな口調から、急に怒号に似た声を上げたため、4人はビクッと身体を震わせる。
「急にどうした!アレン!?」
「アレンッ?」
エルザとカグラが空かさず、驚いた様子で声を掛ける。
「あー、くそっ!…エルザ、カグラ、俺の影分身体が、意識無意識に関わらず消滅した際には見たもの、聞いたものを引き継げる話は覚えているな!」
「あ、ああ。だが、それがどうかしたのか?」
「何かまずいことか?」
シモンとミリアーナは、一体何が起こっているのかさっぱりと言った感じでポカーンとしている。
「ヒスイ王女がなぜ、俺の魔力を魔水晶に流し込ませたのか、少し疑問だったんだ。で、それについて調べていた影分身が消え、情報が今本体である俺の中に流れてきた」
4人は、話しが一向につかめずにいる。
「単刀直入に言う。このクロッカスに、1万の竜が押し寄せてくる」
4人は衝撃で目を見開く。
「なっ!どうしてそういうことになる!!」
「竜が…それも1万だと…」
エルザとカグラは、話しの経緯を知りたいと、詰め寄ってくる。だが、影分身からのひっ迫した状況を理解したいるアレンに、そんな暇はなかった。
「とにかく、詳しい話はあとだ。エルザとミリアーナ、カグラとシモンで手分けして、フェアリーテイルの魔導士を見つけて伝えてほしい!俺は今から王城に行き、ヒスイ王女を止める。今からなら、まだ間に合うかもしれない」
エルザとカグラは、顔を見合わせ。頷く。アレンのことだ、こんなふざけた冗談は言うはずがない。それ以上に、アレンの目が口調が、それを真実であると物語っていた。
「わかった、今すぐ探して伝える。ミリアーナ、いくぞ!」
「ま、まってよ、エルザ姉さん!」
エルザが走り出し、それをミリアーナが追いかける。
「わかった…お兄ちゃん!」
「…よくわからんが、ついていけばいいんだな!」
カグラも走り出し、シモンがそれを追いかける。アレンも、人込みを掻き分けながら、全速力で王城へ向かった。
玉座の間では、フィニスを発動させるために、オスティウン・ムーンディの扉が開かれようとしていた。大きさは5メートルと言ったところであろうか。所々に古めかしい装飾が施された扉の両端には、アレンの魔力が入った魔水晶を持つアルカディオスと、自身の魔力を流すヒスイの姿があった。
「もう、開きますよ」
バルファルクと名乗る男が、扉の前で小さく呟く。すると、扉が勢いよく開かれる。扉の向こうには、光り輝く真っ白な情景が浮かんでいた。
「っ!やりました!これで…」
ヒスイは口角をあげ、アルカディオスや父である国王、ダートンの顔へ視線を移す。
「ええ、これで、このクロッカスに、1万の竜が押し寄せましょう!!」
バルファルクが両手を広げて高らかに笑っている。ヒスイたちは、一瞬何を言っているのかわからない様子であったが、バルファルクの高らかな笑いに、ヒスイが否定を織り込んだ言葉をぶつける。
「なっ!何を言っているんですか!この扉を開けることで、世界の破滅を防げると…」
「まだわからないのか!!愚かな小娘が!!」
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」」
ヒスイの悲痛に似た言葉は、バルファルクのどす黒い声に遮られる。
「お前は、騙されていたんだよ!!」
「騙しただと!!」
バルファルクの続けざまの言葉に、アルカディオスが憤慨して口を開く。
「愚かな小娘にもわかるように教えてやろう。このオスティウン・ムーンディとは、この世界と竜満ちる世界とを繋げる扉!そしてこの扉は、王の血を引くものと竜を斃せしものの魔力をもって開かれる。そうして開かれた扉は、1万の竜が首都クロッカスへと舞い降り、更には三天黒龍復活の礎となる!!フィニスとは、世界の破滅を防ぐ行為じゃない…世界を破滅に導く行為だ!!…わかるかな?」
「あ、あぁ…」
ヒスイは驚きと絶望で言葉がでない。
「つまり、たった今、お前が世界を破滅へと導いたということだ!!」
「き、きさまー!!皆の衆!この不届き物を斬り捨てよ!!」
国王が大声で指示を出すと、アルカディオス含め、控えていたすべての衛兵がバルファルクへと斬りかかる。だが、バルファルクはそんな衛兵を見向きもせずに、全身から無数の赤いオーラを纏った気弾のようなもので、衛兵を一斉に蹴散らす。
「「「「「「「「「「がっ!ああああああ!!!」」」」」」」」」」
赤い気弾を受けたものは、皆総じて床に倒れこみ、苦しそうに呻き声を上げている。大量の血が床を染め上げる。加えて、床と壁にいくつもの亀裂と穴をあける。荘厳な玉座の間は、一気に地獄のような空間へと変貌を遂げた。
「な、なんだと…たったの一撃で…」
「ば、ばかな…」
「ひっ…」
国王、ダートン、ヒスイは、呻きに似た声を漏らす。
「そして、もうひとつ、この扉を閉めるには、同じく王の血を引きしものと、竜を斃せしものの魔力…つまり、魔力を有する王女、そしてアレンの魔力がなければ閉じられん…つまり…」
バルファルクは、王女に掌を向ける。その掌には、先ほどと同じ赤い気弾が生成されていく。
「…っ!ま、まってくれ!わしはどうなっても構わん!娘だけはヒスイだけは!!」
「ひっ…あ、あぁ…」
国王は娘のヒスイを守ろうと、前に出て懇願する。ヒスイは腰が抜け、床にペタッと座り込む。
「お前を殺せば、門は一生閉じないということだ!!」
無慈悲にも、真っ赤な気弾が国王とヒスイに向かって飛んでいく。
国王もヒスイも、涙を流しながら目を瞑った。
…だが、その赤い気弾の衝撃は、暫く経っても二人を襲うことはなかった。
「っくそ!間に合ったが、間に合わなかったか!!」
その声と共に、ガキンッという音が鳴り響く。
2人はゆっくりと目を開ける。そこには、数時間前に見た、英雄の背中が見えた。
「ア…アレン…殿…」
「…アレン…様…」
「っ!」
国王とヒスイ、ダートンは、涙が残る目を見開いて、双剣を両手に携えた男の、その背中を眺めた。
一体、目の前の男は、何を言っているのだ。この扉を開けば世界は救われるのではないのか?私の淡い希望は、目の前の男の無慈悲な言葉により、粉々に砕け散った。
私は、とんでもないことをしてしまった。世界を救うためにと開いた扉が、世界を破滅へと導く扉だったのだ。1万の竜…三天黒龍…あぁ…私は何ということを…。
バルファルクの言葉で、アルカディオス含め、衛兵の全てが、真っ赤な血に染め上げられる。私はあまりにも悲惨な光景に、足の力が抜けてしまった。
衛兵を襲った赤い気弾が目の前に来る。私は…自らの国を、世界を、この手で滅ぼしてしまった。死にゆく恐怖よりも、後悔のさざ波と絶望が心と身体を支配する。そうして、すべてを悟ったように目を閉じ、死を待った。
…だが、私に届いたのは、優しくも切羽詰まったような声であった。
「っくそ!!間に合ったが、間に合わなかったか!!」
その言葉の意味をヒスイはスポンジが水を吸収するかのように理解する。そして、その声の主も…。
「…アレン…様…」
竜の天敵と言われている男が、私とバルファルクの間に割るようにして、立っていた。
バルファルクはそんなアレンの姿に、驚いた様子を見せるが、すぐにニヤッと笑みを浮かべ、口を開く。
「ほう?まさか、気付いたか?この私の計画に…」
「この力、その気配、貴様…バルファルクか…」
アレンは睨むようにして、声を発した。
「いかにも、私は天彗龍バルファルク。一足遅かったな。すでに扉は開かれ、1万の竜がこの街に召喚される」
バルファルクは高らかに笑って見せた。
「貴様…なぜ人型で口を聞ける!計画とはなんだ!」
「ふふ、答える義務はないな。詳しいことが知りたいのなら、後ろの小娘に聞いたらどうだ?お前の魔力を騙して奪い、世界を滅ぼした、哀れな小娘に…」
バルファルクの言葉に、ヒスイは両手を床につき、大粒の涙を零していた。その背中を国王が擦る。
「…悪いが、バルファルク…俺は今、お前の趣味の悪い遊びに付き合ってる暇はないんだ…お前を、この玉座から叩き出す。お前の相手は、扉を閉じた後だ」
「ほう?できますかね?…っ!」
アレンの言葉に、バルファルクは挑発的な態度をとるが、自身の身体の変化に気付き、目を見開く。
バルファルクが自身の身体を確認すると、そこには6本の光の板のようなものが刺さっていた。ヒスイ達は、急に現れたバルファルクを縛る板に、驚いた様子を見せた。
だが、それを見ても、バルファルクはすぐに冷静さを取り戻す。
「捕縛魔法か?だが、この程度の魔法、そう長くはもたんぞ」
「…言ったはずだぜ、お前をこの玉座の間から叩き…」
アレンはそう言うと、瞬時にバルファルクの腹へと移動する。一瞬で視界から消えた、その余りのスピードに、バルファルクは初めて驚愕の表情を見せる。
「出すと…。破道の六十三、雷咆砲」
アレンの放った魔法は、人型のバルファルクを城外へ吹き飛ばすに足る威力を誇っていた。アレンの手のひらから、雷の円盤のような余波が、バチッと漂っている。
バルコニーから外へと吹き飛んだバルファルクは、城外へとその身を落とした。アレンはその様子を見届けると、すぐさまヒスイの元へと走った。
「ヒスイ王女!お怪我は!!」
「あ、ああ…」
ヒスイは正気を保っていなかった。恐らくは自身の犯した行動で、パニックになっているのだろう。見た感じ傷は見当たらない。
「ヒスイ王女!時間がありません!今すぐ門を閉じなければ、街に竜が溢れてしまう!今閉めれば、数体で収まります!」
アレンの言葉を聞き、先に正気を取り戻した国王とダートンが同じようにヒスイに声を掛ける。だが、それでもヒスイの目に光は戻らない。
「っ!ヒスイ王女!!」
アレンは、本来王族に向けるべきではない怒号を、ヒスイに浴びせた。その声でようやくヒスイの目が生気を取り戻す。
「っ…!も、申し訳ありません!!アレン様、お力添えを!」
ヒスイはすぐさま立ち上がり、アレンと共に魔力を注いで扉を閉める。閉めるために有した時間はたかが数秒であったが、いつバルファルクが本来の姿に戻り、襲ってくるかわからない状況下では、異様に長く感じられた。そんな折、血の池地獄のような床から、一人の男が這い上がってくる。
「アルカディオス!!無事か!!」
「ぐっ!何とか…」
その姿をみた国王が、大声をあげる。と、同時に扉が轟音を立てて閉まる。
「っ!アレン様!!」
「ヒスイ王女!これでこれ以上の竜の召喚は成しえないでしょう。ですが、すでに何体か竜がクロッカスに出現しているはずです」
「っ!!」
ヒスイの呼称に、早口で答える。ヒスイは、両手で口を覆い、再び大粒の涙を流す。そんな様子をみた国王がヒスイに寄り添う。
アレンは一つの魔法の発動を試みる。それは、指定した範囲における特定物の居場所を見つけ出す魔法であった。
「南の心臓、北の瞳、西の指先、東の踵、風持ちて集い、雨払いて散れ!縛道の五十八、掴趾追雀!!」
詠唱を終えると、アレンが手をかざした空間に、黒い淵を持った円、それでいて白き光を放つものが浮かび上がってくる。そして、その光には、いくつもの漢数字が流れては消えていく。ヒスイ達は、初めて見る魔法に、驚きを見せながらも、固唾をのんで見守る。
「っくそ!バルファルク含め、竜種が11体も!!」
アレンのその言葉に、ヒスイ達の顔に驚愕の表情が浮かぶ。そうだ、それは自分たちが呼んだものなのだ。ヒスイは父に宥められ、取り戻しかけていた正気を、また失いかける。
「っも、申し訳ありません…私が…私が…」
「ひ、姫様!竜を呼んだのはあのバルファルクという男です!姫様は何も悪くありません!」
ヒスイを宥めるようにして、ダートンが声を張る。だが、それでも、扉を開いたのは自分自身であることが分かっていたヒスイは、床に手をついて深く頭を垂れていた。
「ダートンさんの言う通りです!ヒスイ王女が気に病むことはありません!」
「っで、ですが…私は…」
「それに、今この街には、多くの魔導士がいる!必ず討伐できます!」
アレンは力強くそう言い、先ほど得た情報含め、首都にいる全てのものに伝えようと、また魔法を発動する。先の攻撃の際、極限まで魔力を込めたとはいえ、もうバルファルクが起き上がる頃だろう。しかも、姿を龍へと変えて…。急がなければならない。アレンが前方に手をかざすと、蒼く光る四角い枠が浮かぶ。
「黒白の羅、二十二の橋梁、六十六の冠帯、足跡、遠来、先峰、回地、夜伏、雲海、蒼い隊列、大円に満ちて天を走れ!縛道の七十七、天挺空羅!!」
詠唱を終えると、四角い枠から、数多の青い光が空間を走る。まるで空間にひびが入ったような青白い光は、ヒスイ達は驚愕の表情を見せる。
「な、空間に…」
「ひびが…」
アルカディオスは痛みに耐えながら、ヒスイは立ち上がりながら声を上げる。
瞬間、ヒスイ達の頭に、何かピンッとしたものが張り詰める。アレンは、バルファルク以外の全ての知的生物を捕捉し、頭の中に直接語り掛ける。
『首都クロッカスにいる全て方々。私はフェアリーテイル魔導士アレン・イーグルです』
「こ、これは…」
「頭の中に直接声が…」
「首都クロッカスにいるもの全てに語り掛けているのか!」
「なんという…」
国王、ダートン、アルカディオス、ヒスイがそれぞれ驚きの声を上げる。
『現在、私の魔法で皆さんの頭の中に直接語り掛けています。もうお気づきの方もいると思いますが、現在、首都クロッカスにおいて、合計11体の竜が召喚されました。首謀者は…』
そこまでアレンの声が聞こえた時点で、ヒスイの方がブルッと震える。
『天彗龍バルファルク…非常に凶暴かつ凶悪な竜です』
ヒスイは、予想していたアレンの言葉とは違い、驚きの表情を見せる。
『非戦闘員の方は、できるだけ早く、クロッカスから避難してください。そして、11体もの竜の討伐は、私一人では不可能。そのため、腕に自信のある魔導士の皆さまには、竜の討伐にお力添え頂きたい!また、皆さまにご協力いただくうえで、戦いを避けていただきたい竜がおります。先ほど申し上げた天彗龍バルファルク、全身黒色で赤いオーラを翼にまとっている龍です。この龍は私が仕留めます。皆さまには、手分けして、その10体の竜の討伐に当たっていただきたい。また、この度召喚された竜に対しては、アクノロギアと違い、魔法が有効となります。ですが、それでも竜は竜、1人で戦おうとせず、くれぐれも複数での戦闘をお願い致します。この通信が切れると同時に、各竜の名称と特徴、位置をお送りいたします。どうか、首都クロッカスを守るため…お力添えをお願いいたします!』
そうしてアレンは通信を切ると同時に、竜の情報を全員に送った。本来であれば、弱点属性や部位なども一緒に送るべきであったが、あまりの広範囲かつ大人数であったため、魔法の性能含め、それが限界であった。
天挺空羅を終えた、その瞬間、玉座の間に、轟音と衝撃が走る。全身を黒が多い、翼部分に赤い龍気を纏っている竜が現れたのだ。本体の姿へと戻った、天彗龍バルファルクが玉座の間に突っ込んできた。
「こ、これが…」
「先ほどの男の正体…」
「天彗龍…バルファルク…」
国王、アルカディオス、ヒスイが半歩身を引きながら後退する。アレンは、バルファルクを警戒しながら、後ろに向けて声を掛ける。
「皆さん、竜の全滅まで、どうか、その場を動かずにお待ちいただきたい」
ヒスイ達はアレンの言葉に返そうとするが、『ガアアアアアアアアア!!!!!』というバルファルクの耳を劈くような咆哮に、反射的に耳を塞ぐ。その咆哮と共に、アレンは【カムラノ傑大剣】と、【スカンダX装備】を換装し、バルファルクに突っ込んでいく。
その様子を見たバルファルクは、龍気を纏った翼をアレンにたたきつける。アレンはそれを回避し、大剣を身体の横に構える。
「過流斬り!!」
横へ振り払った大剣は、バルファルクの頭部へ直撃する。刃は深く入らなかったものの、その衝撃はバルファルクを城外へ叩き出すには十分な衝撃を有しており、バルファルクはそのまま城外の地面へと着地する。
それを予想していたかのように、アレンは玉座の間から城外へ飛び出す。アレンが落下するであろう場所にバルファルクが龍気が満ちる翼を広げて威嚇している。
「はあああああああっっ!!!」
アレンはその翼めがけて大剣を振り下ろした。
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