イベリス
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第六十話 何があっても自分はその六
「そうしよう」
「それじゃあね」
「ええ、お互いにね」
「その時はね」
「飲んで泣いて愚痴って」
「忘れましょう」
「失恋はね」
愛に微笑んだまま話した。
「忘れることね」
「そうよ、言われても結局忘れて吹っ切っていたらね」
「言われてもダメージ受けないわね」
「ダメージ受けるのは自分の中で終わってないからよ」
トラウマになっているのもそれ故である、だが人間は自分の中で終わった話は言われても同も思わないものなのだ。
「それでよ」
「傷付くのね」
「そういうことね」
「じゃあ忘れたらいいわね」
「ええ、あの娘も終わってないのね」
「その怨んでる人ね」
「ずっと言ってるから」
それから数年経ってもというのだ。
「あの時誰にどう言われたかってね」
「飲むと言われるのよね」
「素でも言うから」
「その人の中では全く終わってないのね」
「だからスタイルにも気をつけてるのよ」
「太ってるから振られたから」
「自分にはデブを罵っていい正当な権利があるって言ったこともあったわ」
愛は曇った顔でこの言葉も紹介した。
「自分が言われたからね」
「人に言うのね」
「もう完全に復讐鬼になってるから」
「そうも言うのね」
「前はそうじゃなかったのに」
「人を怨んでなかったの」
「それが今ではね」
失恋によってというのだ。
「そうなったのよ」
「その人の中では全く終わってないのね」
「忘れて終われば」
そうなればとだ、愛は咲に遠い目で話した。
「本当にね」
「いいわね」
「あの娘の為にもね」
「そうよね」
「終われば言わなくなるのよ」
「それで怨まなくなるのね」
「何年の前のことが生々しい今なのよ」
その友人の中ではというのだ。
「ずっとね」
「何年も経っても」
「ずっと頭の中にあっていつもね」
「されたこと言われたことを覚えていて」
「それでなのよ」
「そりゃ心も歪むわね」
「根はよくてもね」
それでもというのだ。
「怨みはね」
「忘れられないのね」
「それをどうにかするには」
それにはというのだ。
「結局は忘れることよ、それで幸せになることよ」
「幸せになるの」
「そんな過去を笑い飛ばせる位にね」
「そうなればいいの」
「そうも思うわ、というか忘れるか自分の中でどうでもいいものにすることよ」
「それが大事なのね」
「そう、どんな悪いことでもね」
失恋だけでなくというのだ。
「自分の中でどうでもいいものになればね」
「怨んだりしなくなるのね」
「そうだと思うわ」
「忘れるかどうでもいいものにすることね」
「自分の中でね、言われて辛いことって主観よ」
自分がどう思うかということだというのだ。
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