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イベリス

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第六十話 何があっても自分はその二

「言ったら駄目よ」
「怨まれたら終わりね」
「相手の人も自分も将来どうなるかわからないでしょ」
「そうよね」
 咲もそれはと頷いた。
「相手の人が偉くなっていたりね」
「自分が落ちぶれていたりね」
「苦しかったりするわね」
「その時相手の人が怨んでるとね」
 そうであるならというのだ。
「何されるかわからないわよ」
「そういう時こそ仕返しされるのね」
「特に復讐鬼になっている位の人はね」
「怨みを晴らそうとしてくるのね」
「酷いと何ししても怨みは晴れないわよ」
 その毛0巣もあるというのだ。
「自分がされたことを倍返ししてもね」
「まだ怨んでいてなの」
「延々としてくるわよ」
「それが復讐鬼なの」
「そう、憎しみがずっと消えないでね」 
 そうした状態に陥っていてというのだ。
「幾らでもしてくるわよ」
「一度だけじゃないのね」
「そう、一回やっても怨みが消えてないで」
「ずっと攻撃してくるの」
「しかもその攻撃がきついわよ」
「無茶苦茶してくるのね」
「骨の髄までね」
 こう咲に話した。
「だから気をつけてね」
「軽い言葉でそうなったら嫌だしね」
「そうよ、こっちが忘れていても」
 そうであってもというのだ。
「相手は、だからね」
「ううん、本当に失恋のことは言わないことね」
「そうよ、あと私はまだ失恋はしたことないの」
「お姉ちゃんはなの」
「そう、まだね」
「そうなのね」
「けれど見てはきたのよ」
 その目でというのだ。
「だから今言えるの」
「そういうことね」
「失恋は痛くてね」
「それを絶対に笑わない」
「若し自分が離婚してね」
 将来というのだ。
「その時言われた人どうしてくると思う?」
「離婚のこと思いきり笑ってくるわね」
「そうでしょ」
「怨んでる相手だから」
「それ位は普通にしてくるわよ」
「やり返してくるのね」
「自分が傷付いた時にね」
 愛は真顔で話した。
「絶対によ」
「そうしてくるのね」
「人の怨みって怖いのよ」
「その人も相当怨んでるのね」
「今もね、その時言った人も自分から離れた人達もね」
「皆怨んでるのね」
「人間羽振りのいい人には集まるけれど」 
 愛は嫌そうに話した。
「そうでない人にはね」
「近寄らないのね」
「失恋した人って落ち込んで評判も落ちるでしょ」
「評判も落ちるのね」
「落ちるわよ、振られるってそういうことなのよ」
 告白して失敗するということはというのだ。
「振られるのはその人に魅力がないからってね」
「そう思われてなのね」
「あんたなんかが告白するなんて身の程を知れとかなってね」
「それ違うでしょ」 
 咲は愛の今の言葉に顔を顰めさせて返した。 
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