少女は 見えない糸だけをたよりに
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第十三部
13-1
巧も勤め出して、二度目の日曜日、お姉ちゃんが巧の就職祝いにスーツを買ってあげるといって、3人で寺町通の紳士服専門店に来ていた。
「あのね 男の人もそうだけど、それなりに良いもの着ていると、相手からの印象が違ってくるからね 私の妹の旦那さんになるんだから、私の我儘と思ってちょうだい」
「はぁー でも 良いんかなーって 厚かましくないですかー」
「いいの! 京都って そんなとこうるさいのよ どんなの着てるって 特に年配の人はね そういうので、人を見るところあるからね 東京じゃぁ 逆に、ひがまれるかもね」
ハーフオーダーで、お姉ちゃんの好みで選んだようなものだった。
「お姉ちゃん ありがとう」巧がお礼を言った後、私もお礼を言っていた。
「香波の選んだ人でしょ だったら、私にとっても弟じゃぁない 当たり前よ 実はね スポンサーはお父様なの 内緒よ 口止めされているから」
「そう お父さん そんなにまで 私に・・」
「うん 可愛くてたまらないみたいよ 私も、香波のことが可愛くて、食べてしまていたくらい」
「だからー いやだーって そんなのー お姉ちゃんのこと尊敬してるんだから」
「うふっ じゃあねー これから、ステーキレストランね もっと、巧さんのこと知りたいから・・いこー・・香波には、お邪魔かも知れないけど・・」
「いいよー 私は 巧のこと もっと 知っていてほしい ねぇ 巧」
その後、鴨川沿いのレストランに行って、二人はワインも空けて散々飲んで、私は少し口をつけただけで、顔がほてってきてしまって、二人が話しているのを聞いていた。特に、同じ大学だから、伝説の寮生の話とか昔の話なんかとかで盛り上がっていた。
お店を出た後も、もう一軒とかお姉ちゃんが騒いでいて、今度は総菜の小料理屋さんに行って、また、お酒を飲み出していた。出た後、もうフラフラしているお姉ちゃんを支えている巧に私は嫉妬を感じながら、別れを告げて、お姉ちゃんをタクシーに乗せて帰って来たのだ。
家にたどり着くと、お父さんが出てきて
「嫁入り前の娘がなんてざまなんだー そういうのは 時代かのー」と、それっきりだった。
それでも、お姉ちゃんはお風呂に一緒に入ろうとうるさくて・・・。そしたら、また、香波は胸が小さいから、もっとなんとかしろって、平気で私のを揉むようにしてきて・・だから、私も、お姉ちゃんのに吸い付いて・・二人でお湯を掛け合いっこしていたのだ。
だけど、こんなに家の人にも愛されて、私は幸せを感じていた。やっぱり、あの時、お姉ちゃんに出会えなかったら、こんな幸せなかっただろうなと思っていた。だから、その日もお姉ちゃんに寄り添って寝たのだ。
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