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ヘタリア大帝国

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TURN49 騎士と海賊その九

「それではな」
「はい、敵を囲みそのうえで」
「一斉攻撃を仕掛けよう。第二世代の艦艇ならな」
「速度も大したものではないです」
 世代が一つ違うと性能が段違いなのだ。あらゆる性能がだ。
「ですから」
「包囲にかかる」
「はい、それでは」
「第一艦隊から第十艦隊は正面だ」
 東郷が率いる艦隊もその中に入っている。第一艦隊だ。
「第十一艦隊から第二十艦隊は右」
「了解です」
「第二十一艦隊から第三十艦隊は左だ」
 それぞれ左右にも艦隊を送る。
「残りは上下からだ」
「そうして囲んで、ですね」
「攻撃に入ろう。ではな」
 こうして太平洋軍はバイキング達が動くより先に囲みにかかった。そうしてそのうえでだった。
 左右、そして上下からバイキング艦隊を囲みにかかった。アルビルダはそれを見てモニターからアイスランドに問うた。
「これはまずいな」
「かなりまずい」
 その通りだと言うアイスランドだった。
「囲まれている」
「後は後ろだけだぞ」
「そう。これは」
「どうすればいい?」
「逃げるのが一番。けれど」
 その後ろもだった。見れば。
「敵が来ようとしている」
「ううむ、余計にまずいな」
「ここは一つしかない」
 アイスランドは淡々としてアルビルダに話す。
「降伏しよう」
「降伏するのか?」
「数が違い過ぎるし艦艇の性能も違う」
 アイスランドは状況を冷静に見て話す。
「戦っても全滅するだけだから」
「そうか。降伏するのか」
「王女さんはそれでいい?」
 アイスランドはアルビルダに問うた。
「降伏で」
「ううむ、私は暴れないのだ」 
 見事なまでに本音で返すアルビルダだった。
「そうしたいのだが」
「けれど今は暴れるどころじゃない」
「捕虜になるのか」
「そうなる」
「敵の。日本の捕虜になるのか」
「敵の司令官は東郷毅さん」
 アイスランドは彼等から見て敵にあたる太平洋軍のことも淡々と話していく。
「凄い女好き」
「何っ、スケコマシなのか」
「そうらしいよ」
「では私の様な美少女は」
 自分で言うアルビルダだった。
「かなり危ないな」
「多分。というか絶対に」
「若し私がここで降伏すれば」
 アルビルダは妄想に入った。そのうえでの言葉だった。
「そうか。私が犠牲になってか」
「僕達が助かるとか?」
「アイスランド船長も部下達も皆殺されようとしている」
「今のところそこまでいってないけれど」
「すぐにそうなる。しかし私がこの身体を捧げれば」
「多分そういうことはしない人だと思うけれど」
「仕方がない。ここは私が犠牲になろう」
 全て勝手に話を決めた。こうしてだった。
 アルビルダは言う。モニターに出て来ていた東郷と日本に対して。
「卑劣な者達よ、私は心には屈しないぞ!」
「ああ、最初から聞いていたがな」
「お話したかったのですが」
 東郷はいささか、日本はかなり呆れながらそのアルビルダに応える。 
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